英中銀、暗号資産市場は「緊急性は低いが注視すべきリスク」

英中銀、暗号資産市場は「緊急性は低いが注視すべきリスク」

英国の中央銀行イングランド銀行の金融安定政策委員会(FPC)が、2021年から現在までの包括的な金融の動向と金融安定性に関する今後の見通しをまとめた「金融安定性レポート2022(Financial Stability Report- July 2022)」を7月5日に発表した。

レポート全体の結論は以下の通りだ。

(1)世界経済の状況は悪化している
(2)世界経済の今後の見通しは不透明である
(3)英国の金融市場・コモディティ市場はストレスに対する回復力を持っている
(4)英国の銀行セクターはこれまで通り企業や家計を支援できる状態にある

レポートには暗号資産市場が金融安定性に与える影響についても記載されている。直近1年間の暗号資産市場については「(経済全体の見通しの不透明性を反映して)暗号資産の評価額が大幅に下落し、暗号資産市場の脆弱性が露呈している」と分析している。その一方で「(暗号資産市場による)全体的な金融安定性に対するショックは生じていない」とのことだ。

また暗号資産市場は「緊急性は低いが注視すべきリスク」として捉えられており、今後の見通しについては「暗号資産とそれに関連する市場やサービスの成長は、英国の金融システムに直ちに脅威を与えるものではないが、将来的にそうなる可能性がある」と分析されている。

さらに2021年末から現在にかけての暗号資産の評価額の下落と、それによって露呈した様々な脆弱性については「将来的に暗号資産と広範な金融システムとの相互関係が継続的に発展した場合、これらの脆弱性に対処しない限り、システミックリスクが出現する」ことになると述べられており、FPCは金融安定性の確保のために規制や法執行の枠組みを強化する必要性があると主張している。

露呈した脆弱性の中でも特にステーブルコインの価格維持能力の欠如については重く捉えられており、「ステーブルコインは、価値の安定性、法的請求の頑健性、 法定通貨での額面償還能力などに関して商業銀行貨幣と同等の基準を満たすべき」と述べられている。

英国財務省は今年4月に英国を世界的な暗号資産業界のハブにするための計画を発表している。その計画では、財務省が法定通貨にペッグするステーブルコインを規制し、国内で決済手段として利用できるよう整備していく方針を示している。さらにはステーブルコインを決済手段として国内で使用できるようにするため、決済規制の範囲内に入れるよう立法化する意向も表明している。

また英国財務省は今年5月に発生したステーブルコインUSTのペグ外れを受け、ステーブルコインを含むデジタル決済資産を利用した決済システムを提供する企業の破綻に対処する枠組みを定めた提案書を5月31日に公開している。

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参考:Bank of England
デザイン:一本寿和
images:iStocks/BrianAJackson・liuzishan

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/241691