米国デリバティブ規制当局トップ、暗号資産規制の中心的役割を担う方針示す | あたらしい経済

米国デリバティブ規制当局トップ、暗号資産規制の中心的役割を担う方針示す

米国商品先物取引委員会(CFTC)のトップが、暗号資産(仮想通貨)に関する取り締まりにおいてCFTCが主導的な役割を果たすべきだと、2月9日の議会で語った。

CFTCは米国内の先物取引の認可権を有しており、市場で流通する上場商品、金利またはデリバティブ全般を監督している。

CFTCのロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長は、米国上院農業委員会(The Senate Agriculture Committee)で証言をおこなった。具体的にロスティン・ベーナム氏は急速に成長する暗号資産市場をよりよく監視するために、議会がCFTCに追加の権限と財源を付与することが急務であると語った。

またロスティン・ベーナム氏は「​​暗号資産市場はまだ規制されていない市場なのだ。まだその市場を監視するための権限は限られており、CFTCが観測できていないことがたくさんあるはずだ」とも述べた。

ベーナム氏のコメントは、同氏が2月8日に議会に送った書簡に続くもので、CFTCが暗号資産規制体制の中心的存在になるべきだと考えているのは、個人投資家のリスク軽減と市場整合性の推進に同機関が注力していることからのようだ。

米国議会とバイデン政権は、暗号資産に関する新たな規制体制を構築しようとしており、米国証券取引委員会(SEC)も新しい金融プロダクトの監視を強化するための、いくつかのプロジェクトに取り組んでいる。

上院農業委員会の議長であるデビー・ステイブノウ(Debbie Stabenow)氏は「次の何らかの危機まで待つ余裕はありません。議会は規制当局やバイデン政権と協力して、消費者や環境を保護し、市場を公正、透明、競争的に保つ枠組みを設計しなければなりません。CFTCはその努力の中で重要な役割を果たすでしょう」と発言した。

またベーナム氏は、暗号資産市場への個人投資家の参加は、包括的な暗号資産規制の緊急性を強調していると示唆した。最近の研究によれば、暗号資産の先物市場への個人投資家の参加額は、他の先物市場の「2倍以上」とのことだ。

さらに同氏は、CFTCに暗号資産市場を監督する権限がないことが、この分野での不正行為の増加に寄与している可能性があると指摘した。CFTCはこれまで、暗号資産取引所のビットフィネックス(Bitfinex)やステーブルコインのテザー(Tether)を含む主要な暗号資産事業者らに対して告発を行ってきたが、米国外で運営されている暗号資産取引所を監督することは困難だったとのことだ。

米国の規制当局はこれまで、暗号資産規制の取り組みのほとんどをステーブルコインに集中してきた。ステーブルコインとは、その価値が従来の通貨にペッグされているデジタル資産。

規制当局者は、ステーブルコインがその準備金の安定性に関する十分な透明性を欠いていて、さまざまな影響を受けやすくなっていると説明している。昨年11月に米国財務省主導のワーキンググループは、ステーブルコインは銀行のような保険付き預金を持つ企業によってのみ発行されるべきであると明記した法律を、議会で可決するよう勧告した。 

(Reporting by Hannah Lang and Pete Schroeder in Washington; Editing by Paul Simao and Matthew Lewis)

翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/190222