世界銀行グループ、炭素クレジットファンド設立へ
世界銀行グループの一機関である国際金融公社(IFC)が、高品質な炭素クレジットの調達およびトークン化を目的としたファンド「カーボン・オポチュニティーズ・ファンド(Carbon Opportunities Fund)」の設立を8月17日に発表した。
このファンドにはIFCの他に、気候に焦点を当てたフィンテック企業カルティボ(Cultivo)、環境に配慮した投資を行う金融機関アスピレーション(Aspiration)、低エネルギーで運用可能なパブリックブロックチェーンであるチア・ネットワーク(Chia Network)が参加している。
IFCらはこのファンドを通じて炭素クレジットの取引プラットフォームの構築を目指すとこのこと。取引プラットフォームでは、カルティボとアスピレーションが二酸化炭素削減に寄与するプロジェクトを選定および評価し、それらのプロジェクトによって生み出されるの炭素クレジットを、チア・ネットワーク上に構築した「Climate Warehouse」と呼ばれるシステムを用いてトークン化・追跡するとのことだ。
この取引プラットフォームが実現すれば、気候変動に対処するために必要な二酸化炭素削減量の40%を実現できる見込みとのことだ。
IFCのパウロ・デ・ボレ(Paulo de Bolle)氏はこのファンドについて以下のようにコメントしている。
「この新しい枠組みは、新興市場で創出される炭素クレジットの標準化を促進し、気候変動の緩和を支援します。ブロックチェーン技術を使用するこの枠組みは、資本市場が透明で安全、公正かつ有益な方法で炭素クレジット取引に全面的に関与するための革新的な方法です」
また、カルティボのCEOであるマヌエル・ピニュエラ(Manuel Piñuela)氏は以下のようにコメントしている。
「カルティボ独自の技術とデータ駆動型の選定プロセスにより、トークンに必要な高いベンチマークを満たす高品質の自然系プロジェクトを選定することができます。また、このプラットフォームは、新興市場の地域コミュニティと地球の健康にとって不可欠な生態系を保護・再生するための持続可能な収入源として重要な役割を果たすでしょう」
ロイターによると、現在このファンドには1000万ドル(約13.5億円)の資金が拠出されているとのことだ。
関連ニュース
日本取引所グループ、「デジタル環境債」発行に向け日立製作所・野村證券・BOOSTRYと協業
TEIJINと富士通、ブロックチェーンで「リサイクル素材の環境価値化プラットフォーム」実現へ
住友商事、ブロックチェーン活用の金属資源貿易PFを商業利用へ
参考:IFC
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Petmal・BadBrother
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/252966