ロッテ、ブロックチェーンでカカオ豆のトレーサビリティと児童労働リスク情報に関する実証実験 | あたらしい経済

ロッテがブロックチェーンでカカオ豆のトレーサビリティ

国内菓子メーカーのロッテが、ブロックチェーンを用いたガーナ産カカオ豆のトレーサビリティと児童労働リスク情報に関する実証実験を開始することを2月1日発表した。

今回ロッテは、調達したカカオ豆のサプライチェーン上の児童労働リスク情報を把握することを目的に実証実験を行うという。またこの実証実験には、カカオ豆のサプライヤーとして三井物産およびETC Groupが参加する他、ブロックチェーン開発企業DLTラボスが参加するとのことだ。

ロッテによるとガーナ国内におけるカカオ豆のサプライチェーンは複雑なうえ、ほとんどが電子化されておらず、詳細なトレーサビリティ情報を取得するのが難しい状況とのこと。その中でロッテではこれまで、CLMRS(児童労働監視改善システム)によって児童労働リスク情報を得ていたが、その情報と調達したカカオ豆のトレーサビリティ情報は紐づけることができておらず、サプライチェーン上の児童労働リスクを詳細に把握することはできていなかったとのことだ。

そこで今回の実証実験では、ガーナ産カカオ豆のトレーサビリティ情報と児童労働リスク情報をブロックチェーンシステム上で統合する検証を行うとのこと。

より詳細なトレーサビリティ情報を取得するために、専用倉庫を現地に確保しカカオ豆を分別流通するという。そしてそのカカオ豆の農家コミュニティIDをもとにトレーサビリティ情報を取得し、その情報をブロックチェーン上に記録するとのこと。

そのうえで児童労働リスク情報とトレーサビリティ情報を農家コミュニティIDを用いてブロックチェーン上で統合することで、サプライチェーン上の児童労働リスクの可視化が可能になるとのことだ。

なおロッテは、ブロックチェーンを用いることで、サプライチェーン上の作業負担を最小限に留めながら、情報の真正性を担保した上でカカオ豆のトレーサビリティ情報を一括管理すると説明している。

ロッテは今回検証を行うトレーサビリティシステムによってサプライチェーン上の児童労働リスクの可視化できるようになるため、児童労働リスク低減に向けたより効果的な介入が可能になると期待するとしている。

また詳細なカカオ豆の農家コミュニティ情報を入手できるようになるため、将来的には消費者への農家の情報を公開することが可能になるとのこと。

さらに農家コミュニティの位置情報を衛星からの映像情報と統合して解析することで、サプライチェーン上の森林破壊やアグロフォレストリー化のモニタリングにも応用が可能だと説明している。

なおアグロフォレストリーとは、農業(アグリカルチャー)と林業(フォレストリー)を掛け合わせた造語。樹木を植えて森林を管理しつつ、その間の土地で農作物の栽培や家畜の飼養を行うことである。これにより森を伐採しないまま農業が行える。

「あたらしい経済」編集部は今回の実証実験にて用いられたブロックチェーン基盤についてロッテに問い合わせを行っている。その回答が得られ次第、この記事に追記させていただく予定だ。

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参考:ロッテ
デザイン:一本寿和
images:iStock/3000RISK

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/292896