【取材】三菱UFJ信託、みずほ信託、三井住友信託ら7社、デジタル資産基盤「Progmat」運営の合弁会社設立へ | あたらしい経済

3メガバンク信託銀ら7社、「Progmat」運営の合弁会社設立に向け検討開始

三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス、JPX総研、エヌ・ティ・ティ・デーらが、デジタルアセット全般の発行・管理基盤「Progmat(プログマ)」の開発・提供と、「デジタルアセット共創コンソーシアム」の運営を担う、合弁会社の設立に向けた共同検討の開始を12月21日発表した。7社で来年9月以降の合弁会社設立を目指す。

なおその新会社の名称も、「株式会社Progmat」を予定しているという。

これまで三菱UFJ信託銀行では、セキュリティトークン(証券トークン)を取り扱う「Progmat ST」基盤、ユーティリティトークンを取り扱う「Progmat UT」基盤、ステーブルコインを取り扱う「Progmat Coin」基盤、及び各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービス「Token Manager」「Token Wallet」の開発を進めてきた。

なお今回デジタルアセット市場の共通インフラを構築するために、新会社は三菱UFJ信託銀行の子会社ではなく、前述の各社との合弁会社にするとのこと。三菱UFJ信託銀行の上限株式持分は49%で、スタートアップとして将来的なIPOも想定しているという。

そして三菱UFJ信託銀行は、「Progmat ST」、「Progmat UT」、「Progmat Coin」、「Token Manager」、及び「Token Wallet」に関するプログラムや知的財産権等を新会社にから移管し、共通/中核機能開発を主体的に行う「Core Developer」 としての役割を担うとのことだ。なお、三菱UFJ信託銀行が「Service Developer」の一角として取り組んできた原簿管理業務やカストディ業務は合弁会社には移管せず、他の金融機関と同様、三菱UFJ信託銀行として継続するという。

また三菱UFJ信託銀行は、中立性が必要な「デジタルアセット共創コンソーシアム」に関する契約等も新会社に移管し、「DCC事務局」として業界横断的な取り纏めを行う役割を担うとのことだ。

今後の展開としては、前述の通り新会社の設立とIPOを目指し、4兆円超のセキュリティトークン市場、Web3を含むステーブルコイン決済、マルチメタバース市場を支えていくとのことだ。 ・なおプラットフォーム「Progmat」には、エンタープライズ向けブロックチェーン基盤「Corda(コルダ)」が採用されている。

三菱UFJ信託銀行のプロダクトマネージャー齊藤達哉氏へ取材

「あたらしい経済」編集部は、三菱UFJ信託銀行デジタル企画部デジタルアセット事業室のプロダクトマネージャー齊藤達哉氏へ取材を行なった。

––株式Progmatでステーブルコインの発行を検討していると思いますが、日本において規制に準拠した形でステーブルコインが広がっていく利点を説明していただけますか?

ステーブルコインに対する規制は、実は日本だけでなくグローバルな潮流です。 その目的ですが、今年も界隈では色々な事故(事件といっていいものもあります)が発生しているように、利用者の皆さんの残高がある日突然消えるようなことが今後発生しないようにしなければなりません。

このような背景で、米国も欧州も規制の枠組みが議論されているのですが、実は日本は先行して法制化されている、”先進市場”という見方も可能です。 このような前提において、規制に準拠したステーブルコインは利点の比較ではなく、規制に準拠していない”自称ステーブルコイン”は、少なくともまずは国内、少し先の未来ではおそらく他国においても、そもそも発行も利用もできない世界になる、ということです。

残高消失のような懸念はなくなる一方、現状享受できているグローバル/パブリックな利便性は損なわれるのではないか?という懸念は当然ですので、そうならないよう民間事業者の声を1つにまとめ、かつ開発組織もスタートアップ化し、安心安全かつ利便性の高い仕組みを提供していけると考えています。

––またステーブルコインの準備金の実在性などに関する保証は、どのようにして行なっていく方針でしょうか?

信託の仕組みの活用を考えています。 例えば皆さんが購入されている投資信託等も、投資口の裏付けとなるアセットは信託という法的な器の中にパッケージ化され、その実在性についてはアセット毎に担保されています。

ステーブルコインについても、裏付けとなる円やドル等の法定通貨を、同じような信託の器の中でしっかりと保全し、ある日突然価値が消失きてしまうことがないような仕組みを創ります。

その具体については、前述のコンソーシアムとして鋭意まとめておりますので、近々提言として公表し、皆さんと一緒に実現していければと考えています。

参考:三菱UFJ信託

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/284583