IHIと富士通、ブロックチェーンで燃料アンモニア製造から利用までのCO2排出量を可視化 | あたらしい経済

IHIと富士通が「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」開発

総合重工業グループのIHIが、ブロックチェーン活用の「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」の開発と実証実験開始を10月31日発表した。同プラットフォームは、アンモニア製造から利用に至るバリューチェーン全体における,カーボンフットプリントを記録・可視化するとのこと。

ブロックチェーンを活用することで、アンモニアの「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」の各段階におけるCO2排出量を算出・記録・可視化するなどし、各プロセスにおけるCO2トレーサビリティを実現するという。これによりバリューチェーン上の各プレーヤーやアンモニアの需要家が、脱炭素の取り組みに関する情報を必要とする各ステークホルダに対してCO2排出量や削減量を証明できるようになるとのこと。

なおこのプラットフォームは、IHIのIoT基盤「ILIPS」(アイリップス/IHI group Lifecycle Partner System)と富士通が提供する基盤技術を組み合わせ開発した。

この「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」は、近年新たな燃料資源として注目されている「クリーンアンモニア」の普及・拡大にあたる課題に対応すべく開発が行われたとのこと。

なお「クリーンアンモニア」とは、製造時のCO2排出量を非常に低く抑え、燃焼時にもCO2を排出しないアンモニアだ。

燃料としてアンモニアを普及・拡大させるには、再生可能エネルギーによる電力を用いた水素・アンモニアの生成・輸送・貯蔵に至るバリューチェーン全体における、複数のプレーヤーやプロセスをまたいだCO2排出量の詳細な記録・管理・授受と、透明性と信頼性の高いCO2削減量の算出手法の確立が課題とのことだ。

今回開始した実証実験では、同プラットフォームの有効性を確認するため、「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」における再生可能エネルギー発電・水素製造設備と「IHI横浜事業所」におけるアンモニア合成・貯蔵・ガスタービンまでの各設備からなるバリューチェーンを構築したとのこと。

IHIはこの実証実験を通じて、CO2削減量の算出手法の検証やプラットフォームとしての機能向上に取り組む予定としている。

なおIHIと富士通は今年4月、CO2削減量をブロックチェーン技術で環境価値としてトークン化して市場流通させる共同事業を開始している。

この共同事業プロジェクトは、企業や国を超えた効率的なCO2削減量などの環境価値取引市場に対し、両社の持つブロックチェーン技術やカーボンニュートラル関連技術に基づくビジネス知見を活用した環境価値流通プラットフォームの市場適用と活性化に向けた取り組みとのことだった。

なおこの事業ではIHIのブロックチェーン活用「環境価値管理プラットフォーム」と富士通のブロックチェーン技術「ConnectionChain」が用いられている。「環境価値管理プラットフォーム」にはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤のクオーラム(‎Quorum)が、また「ConnectionChain」には、複数のブロックチェーンプロジェクト間における安全で信頼性の高い統合を実現するためのオープンソースソフトウェア(OSS)「Hyperledger Cactus」が利用されている。

「あたらしい経済」編集部は今回の「アンモニアCO2トレーサビリティプラットフォーム」に採用されているブロックチェーン基盤についてもIHIへ問い合わせを行っている。返答が得られ次第この記事に追記させていただく予定だ。

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参考:IHI
デザイン:一本寿和

images:iStocks/monsitj・dalebor

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/270383