CACが「配達員保険システム」の実証実験
国内でシステム構築サービス等を提供するシーエーシー(CAC)が、準天頂衛星システム「みちびき」とブロックチェーンを活用した「配達員保険システム」の実証実験を行ったことが7月19日分かった。昨年9月から今年3月にかけて東京都江戸川区の市街地で実施したとのこと。
この実証実験は、社会問題になっているフードデリバリーサービス配達員による危険運転問題を解決するために行われたものだ。また同実証に用いられる「配達員保険システム」は、「みちびき」のSLAS(サブメータ級測位補強サービス)を活用して、配達員の運転情報と同保険システムを連動する仕組みとなっているという。
この「配達員保険システム」には、SLAS受信機で走行中の自転車の位置情報を取得・処理・判定して、ブロックチェーン上にデータを保存するシステムとアプリが利用されているとのこと。これらにより実証実験では、「推奨ルート以外を走行していないか」「スピードを超過していないか」についてスマホアプリで走行中の位置等の情報を収集して配達結果を正しく評価できるかの検証と、ブロックチェーン上で共有された配達スコアから保険料を計算する検証されたという。
また保険料の計算には、グループ保険の形式を想定してグループ単位でグループ内の各配達員の保険料を自動的に計算するスマートコントラクトを開発したとのこと。
なおこの「配達員保険システム」には、米R3開発のエンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」が採用されている。
実証実験の結果としては、同システムにより配達員が走行した位置情報を正確(誤差1m以内)に取得でき、配達を評価するスコアを想定したパターンで計測可能なことが分かったという。またフードデリバリーサービス会社と保険会社間でブロックチェーンの仕組みを用いてスコア等のデータを改竄できない形で共有できることも確認できたとのことだ。
また課題としては、頻繁にカーブが続くような複雑なルートの場合に現在の判定アルゴリズムでは誤判定されるケースがあるとのことで、改善が必要であるとしている。
なおこの実証実験は、内閣府と準天頂衛星システムサービス株式会社が主催する「2021年度 みちびきを利用した実証事業公募」に配達員保険システムの提案が採択されたことにより実施されたものであるとのこと。 「みちびき」は日本版GPSとも呼ばれている準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムだ。
「みちびきを利用した実証事業公募」は、「みちびき」の利用が期待される新たなサービスや技術の実用化に向けた実証事業を実施する企業等と、「みちびき」の利活用拡大につながる研究開発・実証実験を行う大学等を対象に2018年度から行われているとのことだ。
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参考:CAC
デザイン:一本寿和
images:iStocks/choochart-choochaikupt・antoniokhr
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/245150