2023年はブロックチェーンゲームの年になるのか?`
今年10月にB DASH CAMP 内で開催された招待制web3カンファレンス「B DASH CRYPTO」。その中のセッション「GameFiの可能性~web3はゲームをどう変えるか?」の記事レポートを公開します。
このセッションには、佐藤達也氏(DMM.com)、前田慶次氏(DMM.com)、松原亮氏(Oasys)、山田耕三氏(Digital Entertainment Asset)が登壇し、モデレーターは設楽悠介(幻冬舎)が務めました。ぜひテキスト版のイベントレポートをお楽しみください。
イベントレポート「GameFiの可能性~web3はゲームをどう変えるか?」
設楽悠介(以下 設楽):DMMさんは今年web3事業への参入を発表し、ゲームを開発されている最中だと思いますが、どんなゲームを制作しているんですか?
佐藤達也/DMM.com(以下 佐藤):現在私たちには、DMM GAMESという、年間800億ぐらい売り上げ規模があるゲームプラットフォーム/パブリッシング事業があります。初めはそこで培ったノウハウやアセットを生かしたタイトルを作っていこうと考えて、優秀な開発者を集めて進めているのですが、その風呂敷がどんどん広がっている状況です。
だから単純に既存ゲームをブロックチェーンゲーム化するだけではない、どちらかと言うとWeb2的なゲームを軸にしつつ、いかにweb3にアジャストできるかみたいなアイデアで、風呂敷を広げまくってるものを、今制作しています。
ゲームのジャンルとしては、PvE(Player vs Enemy)、PvP(Player vs Player)などの対戦モノです。そこまでプレイヤースキルを求めるものではなく、どちらかといえば戦略性を重視するようなゲームになっています。今制作しているゲームはDMMのトークンを軸にした経済圏の第一弾プロジェクトとなるので、トークンの設計やホワイトペーパーの作成を進めています。
松原亮/Oasys(以下 松原):DMMさんのゲーム事業は、業界外の方からはそこまでイメージが沸かないかもしれませんが、ゲーム界隈からするとブラウザゲームで圧倒的ナンバーワンなんですよ。そんな大手であるDMMさんのブロックチェーンゲームは、本当に楽しみです。いよいよ動いたな、と思っています。
設楽:そのようなブロックチェーンゲームを置く場所としてのブロックチェーン「Oasys」を作っている松原さんにご質問なのですが、今どのぐらいのゲームが「Oasys」上で開発が予定されているんでしょうか?
松原:現在、国内外のゲーム会社さんと話してまして、お問い合わせいただいているものも含めると40作品以上ありますね。その比率としては海外が多いです、特にスタートアップの作品は。
それで年内には10本のゲームが「Oasys」上でローンチする予定になってます。既存のゲームとのマイグレーションも含めてですが。その中には国内のゲームも、もちろんあります。
設楽:DEAさんでは、すでにゲームを何本もブロックチェーンゲームをリリースしてますよね。その中で昨今の暗号資産の市場の下落は影響ありましたか?
山田耕三/DEA(以下 山田):そうですね。冬が来なければ売上は100億円超えてたと思っていて、今年下半期が相当きつかったですね。
ただトークンの乱高下だけで価値を出していたプロジェクトが軒並みダメになっていった状況でもあり、僕たちはその部分のサバイバーとしてのポジジョンは明確にとれたと思っています。それはそれで、いい時期と捉えてもいいかもです。
だから僕らは粛々とゲームをどんどん出していくフェーズとして、毎月タイトルの連続公開を進めています。このタイミングでどんどん出して、「あ、GameFiってこういうことか」と、その面白みをユーザーさんに、新しい体験として感じていただきたいと思っています。
GameFiの魅力と課題
設楽:ここからはGameFiの可能性についてお伺いしていこうと思います。まずブロックチェーンゲームと一般のゲームのその違いや、皆さんの考えるブロックチェーンゲームの魅力は何でしょうか?
佐藤:ブロックチェーンゲームは経済性があるのが特徴だと思います。
ただその特徴が、現状はポジティブに捉えられていない場合があることは、同時に課題だと感じています。
話をシンプルにするために、映画に例えてみようと思います。映画はすごくパッシブなメディアだと思うんですけど、映画を一緒に観ているお客さんの中で、仮に入場料を払ってる人とお金を儲けている人が混ざっている状況を想像すると、それはコンテンツ自体を純粋に楽しめるのだろうかと僕は考えるんですよね。コンテンツに集中できない、納得できないという方は必ず出てくると思っています。
そういうことがなぜ起こるのかを、いくつか仮説を持ってトライしていかなければいけない時期ではと、日々考えています。
山田:映画のメタファーは、本当に僕もよく使ってます。僕は前職がテレビ東京なんですが、一般のゲームとweb3ゲームは、映画とテレビぐらい違うと考えています。
映画はお金を払って観るペーパービューモデル、テレビは基本的には無料で観られる広告モデルです。そしてYouTubeも基本無料で見られる広告モデルですね。同じ動画というものを扱っていても、それぞれ経済圏のサイズが違う。
そして歴史的にも、テレビやYouTubeの経済圏は、映画のそれよりはるかに大きなものに成長しました。僕はゲーム業界でも、GameFiの登場で、同じようなことが起こると思っています。
設楽:既存のコンシュマーゲームが映画で、web3ゲームがテレビやYouTubeのような経済圏を持つということですね。まさにトークンを発行して経済が回せるという部分がブロックチェーンゲームの大きな特徴ですよね。
松原:例えばこれまでのソーシャルゲームなどは、ユーザーにガチャをいっぱい回してもらいながら、ゲームはキャラのインフレをなだらかにすることを目指していたわけですよね。
ブロックチェーンゲームは、いわば中央銀行のように、トークンやNFTなどのゲームアセットの需要と供給を市場を見ながらバランスさせる必要がある。そこが大きな違いですね。
山田:そうですよね、よく国家運営とかいうふうな言い方をしますよね。うまくユーザーさんに対して、需要と供給のバランスを取りながら、最終的にはコンテンツの存在意義と、面白さをその国の中で最大化していくのが大切になります。
前田慶次/DMM.com(以下 前田):まさに日銀の黒田総裁になった気持ちですよね。需要と供給、KPIをずっと見ていかなければいけない、それが24時間365日止まらない市場においてです。
さらにKPIを何にするのかも相当な設計が必要ですし、実際運用すると色々なものが発生するので常に仮説を立てていく必要がありますね。
設楽:例えば国に例えると、いきなり国民が2倍に増えたら、大変ですよね。国ではそんなことないかもしれないですが、ゲームではユーザーが2倍に突然増えることは起こりえますよね。
山田:「Axie Infinity」や「STEPN」のユーザーの、誰にとっても幸せだったはずのトークン価値の急激な上昇が、結果として、いわば国というか文化圏を破壊したっていう側面もあると考えています。
結局のところ、コンテンツ世界の文化の成熟度合いを、しっかりKPIを取って見ながら、適切な成長をしないと、移民を突然大量に受け入れた国で治安が悪くなる、というようになってしまいます。だから国として文化圏を守ることは、GameFiの運営として1つの重要な部分ですね。
松原:今まで一般のゲーム作りではPLを見ておけばよかったんですけど、ブロックチェーンゲームはトークンを発行するので、BSまで見なきゃいけなくなるんですよね。それが決定的な事業者サイドの違いです。
佐藤:まさにゲームを開発中の僕たちからするとホットな話題です。その両方を見なければいけない。
コンテンツのプロデューサーも、PL上上手く行くように差配するだけが目的じゃなくなってくる。これまでゲームを作ってきたメンバーからすると「BSって何だっけ、衛星放送?」となる人もいたりします。ゲームクリエイターにはそういった金融リテラシーは、これまでそんなに必要ではなかったので。
前田:だからDMMでは、社内での金融の勉強会も実施してます。今まで金融に関わって来なかった人たちが、すごい熱心に参加していただけています。
何がキラーゲームになるか?
山田:これはソーシャルゲームが出てきたときに、作り手の層が一気に変わったのと、すごい似てますね。
ソーシャルゲームによって業界にマーケッターとか、データ分析者が入ってきて、今のゲーム業界ができていると思うんです。これがweb3ゲームになると、金融の人たちが入ってきて、新しいチームを組成することになる。
ソーシャルゲームの登場でゲーム業界の市場規模は倍になりました、世界のゲーム市場は約22兆円でコンソールゲームとソーシャルゲームが、その市場を半分に分けています。
だからまた新しい世代が地層のように重なり、結果的にゲーム業界の市場をさらに広げるのではないかと考えています。すぐ30兆円ぐらいになるかもれないですね。ソーシャルゲームで約10兆円増えたので、web3ゲームで10兆円増えるみたいに。
設楽:そのように市場が拡大するきっかけとなるのは、やはり1個のキラーゲームが生まれるかどうかにかかってくるのでしょうか? ソシャゲにおける「パズドラ」、「モンスト」のような。
山田:そう思います。ワンタイトルが世界を変えることは、ソーシャルゲームの時もまさにそうでした。誰かがホームラン打ってくれれば、みんなが勝てる(笑)。
だからDEAも、「Oasys」さんもですが、プラットフォーム戦略をとっています。沢山やったところに勝ち目がある。この領域はダウンサイドよりアップサイドの夢のほうが、はるかに大きいんです。
設楽:そういうキラーゲームを生み出すのは、大手企業とスタートアップ、どちらだと予想しますか?
松原:新しい成功モデルを最初に作る可能性が高いのは、スタートアップだと思っています。ただそれが出てきた後、必ず強いIPがその上にのっかってくるんですよね。また「Oasys」でも大手さんがすでに新しいモデルを作ろうと動いているところもある。だから、どちらの可能性もあると思ってます。
設楽:ちなみにスマホが出た後に、既存ゲームのスマホ移植版がリリースされる流れもありました。既存ゲームのweb3への移植というのは起こっていくのでしょうか? その難易度は高いんでしょうか?
佐藤:インターフェース的には近いので、移植自体は簡単だと思います。ただ本質的な価値を提供できるかという観点では、全く別モノになるので難しいのではないでしょうか。そもそも表面的な移植は、意味がないと思ってます。
だから私たちはメインストリームとしてちゃんと広がるもので、お客さまの可処分時間の中でしっかり使われるもの、もしくは生活の必需品みたいになっていくようなゲームを作っていかないといけないと考えています。
松原:4年前から僕らは、ブロックチェーンゲームの本質とは?について「ゲームにかけた時間もお金も情熱も、あなたの資産になる」と説明してきたわけですよね。
この点は、ゲームの価値を押し上げると思ってます。今まではゲームは「ゲームばっかりして」と言われるものだったし、もちろんeスポーツで稼げる人は一部出てきましたが、それは強い人だけで、稼げるのは「みんな」ではなかった。でもブロックチェーンゲームは、「みんな」にとっての価値を作ることができる。
その先はメタバースになっていくと思うのですが。ブロックチェーンゲームはバーチャルな物の価値を上げていく第一歩、ゲーム産業そのものの価値を押し上げるものと考えています。
前田:さらに稼げると言うことで、これまでゲームを遊べなかった人たちもゲームで遊べるようになったと思います。日本人は比較的裕福でゲームで遊べる人が多いですが、世界ではそうではない人もいます。「Axie Infinity」や「JobTribes」がそのパイを広げたことは、すごい意義があると思っています。
山田:まさにそのとおりで、スマホの広がりで今世界で約30億人がゲームで遊んでいると言われてますが、逆にまだ世界には約50億人ゲームで遊ばない人がいるということなんですよね。そこにアクセスできるのがweb3でありGameFiであると思ってます。
可処分所得ベースでも、それが低い人にゲームの機会を与えるという側面がある。また可処分所得の高い人たちにもゲームは無駄じゃない、なぜなら稼げるからという圧倒的な共通言語でアクセスできる。
僕らの「JobTribes」売上の大きな部分には、そういう初心なゲーマーと、Play to Earn(P2E)でなければ手を出さなかったゲーマーの方々が、本当にいるんですよね。
だからゲーム業界にとってGameFiは、敵ではなく、今までゲームに興味なかった50億人に入ってきてもらう、そしてゲームって面白いと思ってもらうための、業界にとっていい展開だと思ってます。
ただ先ほど佐藤さんもおっしゃってましたが、ゲームクリエーションの視点では、資産性がノイズになって、もともと楽しめていたものが楽しめなくなるというジレンマは、おそらく起きてくる。僕は来年、それがかなりの事件となっていくのではと思っています。
だからこそ、web3ゲームは、既存のゲームとは体験価値をちょっとズラした面白さを見つけないといけない。
これも過去を振り返れば、ソーシャルゲーム登場の際に起こったことです。コンソールゲームで、すごくリッチなゲームが遊べた時代にガラケーのゲームが登場して、当時はゲーム業界の人たちは批判的でした。でも人と人の繋がりや承認欲求など、新しい体験価値が発生し、マーケットは結果的に倍になったわけです。だからブロックチェーンゲームでも、同じことが起こるはずです。
ただこの話は結構難しくて、弊社でも大手ゲーム会社さんから来たプロデューサーとは、大体いつも喧嘩になってますね(笑)。
設楽:佐藤さんのキャリアは元ゲーム会社ですよね? そのあたりどうお考えですか?
佐藤:僕はセガで14年間くらいゲームを作っていたんですが、その後完全にゲームから離れるキャリアも長かったので、僕自身はジレンマや悩みのようなものは一切感じませんでした。
でも一緒に働く開発者のメンバーや、リクルーティングの機会でゲーム業界の方と話すと、やっぱりまさにそこの、純粋なピュアな面白さみたいなものを求めたいのに、何かこう、お金稼ぎみたいな話ばっかりで汚れてるみたいなことが、価値観として一部持たれてると感じます。
でもゲームで新しいインフラや仕組みを使うことで、新しいエンターテインメントのジャンルが一個できると捉えたほうがいいのではと思ってます。
ブロックチェーンゲームと人材
設楽:人材の話もお伺いしたいんです。現在どんな人がこの業界にキャリアチェンジしてくるんですか?
山田:色々な人が入ってきてますが、もちろん既存のゲーム業界の方も多いです。またソシャゲの会社さんからくる人もいますね。
佐藤:ソシャゲに疲れ果ててたどり着いてるんですかね?
松原:ソシャゲは1作品作るのに20億とか15億かけて、それで成功確率3%とか言われてます。「原神」っていう中国のゲームは、そこに100億突っ込んできたりしました。ソシャゲにおける高いコストをツッコミ続ける戦いは、辛いところがあるかもしれませんね。それで新しいフロンティアとしてブロックチェーンゲームに来ている人もいますね。
設楽:ソシャゲはそれはマーケットとして成熟したからそうなったと捉えられますね。ちなみにどんな人がこの業界に向いていると思いますか?
山田:今のところブロックチェーンゲームは総合格闘技のように、ゲームのことに加えて、金融や経済、そして国家経営や、貨幣発行のようなことについて考える必要がある。
だから色々なことができ、考えられる、器用な人が現状は向いていると思います。もう少し業界が成熟すればスペシャリストが求められていくことになると思いますが。
設楽:ちなみに少しいやらしい話ですけど、優秀な人を集めるにはそれ相応のギャランティが必要だと思うのですが、ブロックチェーンゲーム領域のそれは、高いんでしょうか?
佐藤:エンジニアはもう、べらぼうに高いですね。需要が多いのに、この経験が豊かな人がまだまだなかなかいないので。特にフロントもバックエンドも見られたり、開発チームをリードしていける、全体を見れるエンジニアは本当に貴重です。
松原:おそらくこれまでゲーム業界って、そんなに給料高くなかったんですけど、ブロックチェーンになって、海外ではめちゃくちゃその水準が上がってると思います。ちなみに僕は日本のゲーム会社のエンジニアは、めちゃくちゃ優秀だと思っていて、彼らが英語ができたら、すぐ年収で3000万円ぐらい稼げるようになると思います。世界的にもこの領域のエンジニアは足りていないので。
佐藤:まさにその通りです、なのでDMMも今採用をめちゃくちゃ強化しています。ご興味ある方がいればぜひご連絡いただきたいです。もしかしたらここに登壇してる各社さんで集まって、イベントを開催したり、人の交流の場を作ったりしていくようなことも実施できないかと思ってます。
前田:どうしても仮想通貨はネガティブな印象を持ってる方もいて、敬遠する方もいるかもしれませんが、本当に新しいフロンティアであり、怖かったり怪しかったりと言うことを私たちも日々発信するように努めています。
山田:でもそんな印象も、それこそDMMさんや「Oasys」さんのおかげで、変わってくると思ってます。大手さんが入ってくると。だから来年は、本当にブロックチェーンゲームにとって、いい年になるのではと思ってます。
設楽:採用以外にも、ブロックチェーンゲームの領域は、色々な企業とのコラボや提携が盛んだと思います。それらはどのように働きかけているんですか?
松原:こちらからアプローチすることもありますし、IPを持っている企業さんから連絡いただくことも、両方あります。
佐藤:DMMも積極的に色々な会社とコラボしていきたいと思ってます。私たちだけで作ろうという気持ちではやっていなくて、ブロックチェーン技術も、ゲームの中身も、そしてゲーム以外のコンテンツの企画も、得意な領域を持っている企業さんと協業でやっていきたいと考えています。なのでDMMと一緒に事業を拡大したいという企業さんにもぜひお声がけいただきたいです。
だからもちろん「Oasys」さんともDEAさんともライバルという感覚は全くなく、広く協業してご一緒していきたいと思ってます。
松原:例えば現状のERC721のNFTの規格は、主にトレードのことしか定義されていないですよね。なのでゲーム各社で連携してメタデータの標準化などもしていかなければいけないと思っています。それができるのは今「Oasys」ぐらいしか世界中にないと思っているんで、使命としてやっていきたいと思ってます。
2023年はブロックチェーンゲームの年になるのか?
設楽:最後に来年の皆様の取り組みや、ブロックチェーンゲーム業界がどうなるかについての予想を聞かせていただいてもいいでしょうか?
山田:DEAは、まだゲームやっていない50億人の皆さんに、既存の大手ゲーム会社さんとは少し違うアプローチで、新しい体験価値を作ってお届けしていきたいと思っています。
具体的にはゲームマーケットの倍ある40兆円の寄付マーケットへのアクセスを、僕らなりに来年中に実施していきたいです。そしてゲームを通した社会貢献の実現を目指していきたいと考えています。
松原:ブロックチェーンゲーム業界は、来年の1月ぐらいから真っ当な進化が起こると思ってます。ベアマーケットで出すのを控えていたゲームが、聞いている限りでは、どんどん世に出てくると思います。
そして楽しいゲームがどんどん出てくると、前述のようなジレンマによる葛藤が始まり、さらに「ブロックチェーンならでは」をゲームに入れ込んだ発明をみんな目指していくのが来年だと思っています。そうなってくるとマスアダプションに向かうので、「Oasys」はブロックチェーンゲームを置く基盤として、そういったゲーム開発者さんのゲームが載せられるように、基盤を整えていきたいと思ってます。
前田:過去2018年や2019年の冬の時代では、日本ではブロックチェーン領域に投資をする会社がすごく少なかった。逆に海外では投資が盛んで、その時期に仕込んだものが、例えば「Axie Infinity」に繋がったりしたわけです。
おそらく各社さんの社内でも暗号資産が下がっているということで、いろいろ言われることはあると思いますが、一歩踏み出さないと世界は広がらないので、ぜひ怖がらずに一歩目を踏んでいただければと思ってます。投資家目線でいうと、冬のマーケットの状況は、大体1年ぐらい経つと若干和らいでいくものです。
先日海外のイベントに行ったら、この領域に対しての投資意欲は高いと感じましたし、ライトなゲームからリッチなゲームまで多くのスタートアップが準備しているのが分かりました。来年はブロックチェーンゲームにとって本当に勝負の年になると思いますので、私たちもゲームも楽しみにしていただければと思ってます。
佐藤:まずDMMとしては、ちゃんと土俵に立つことが大切だと思ってます。そして業界としては、自分たちの予想していない領域から出てくるサービスや、生活に紐づくようなものまで、ウォッチしていき、ゲーム以外の領域も盛り上げていきたいと思ってます。DMMは色々なサービスを展開しています、それらをweb3につなげていく、そのきっかけとしてまずGameFi領域に参入していきたいと思っています。
設楽:僕も色々な企業さんと日々コミュニケーションする中で、皆さん口を揃えて「来年ブロックチェーンゲームは凄いことになる」とおっしゃってるんですよね。守秘があって言えないんですが、凄いの用意していますという話が多い(笑)。
去年今年はNFTが、賛否両論も含めweb3を牽引してきた感じはありますけど、来年web3のトレンドを引っ張るのはGameFiになるんじゃないかと、本日のセッションを通じても改めて感じました。皆さん、本日はありがとうございました。
編集後記
本イベントを開催した翌月11月、大手暗号資産取引所FTXが破綻し、暗号資産市場に大きなインパクトを与えた。それはブロックチェーンゲーム業界にとっても打撃であり、後日Oasysの松原氏は本イベントの続編として開催したツイッタースペースの場で「北米を中心にVCのGameFi領域への出資も激減している」とも語っていた。
このイベントを開催してから、より深い冬の時期に突入してしまった暗号資産市場ではあるが、それでも参加した各社は精力的にプロジェクトを進めている。
DEAは10月に新ゲームタイトル「Graffiti Racer」、11月に「Lucky Farmer」をリリース。そして楽天とWeb3領域における協業推進に向けた覚書(MOU)の締結を発表。また米国拠点のLDA Capitalから1,000万ドルの資金調達の実施も発表した。
オアシス(Oasys)は12月に、ギャラクシーインタラクティブ(Galaxy Interactive)、韓国ゲーム大手ネクソン(Nexon)、前澤友作氏率いるMZ Web3ファンドらからストラテジックラウンドで資金調達を実施。また11月30日から12月4日までの5日間で行われたパブリックセールは60ヵ国の投資家が参加し、開始から半日以内に目標金額の100万ドルを達成したという。そして現在はメインネットローンチし、オアシスのネイティブトークン「OAS」は、OKX、Kucoin、Bybit、Gate、Huobiの5取引所に上場している。
そしてDMMは、第一弾のブロックチェーンゲームの詳細を12月に発表した。DMM GAMESで、累計250万人がプレイしたブラウザゲーム「かんぱに☆ガールズ」のブロックチェーンゲーム版「かんぱに☆ガールズ RE:BLOOM」を来年夏にリリースする予定だ。なおDMMはOasys上で独自のLayer2ブロックチェーン(Verse)を構築し、その第一弾として本作をリリースする予定だ。
前述の通り暗号資産市場は非常に厳しい状況であり、それは今年トレンドとなったweb3という言葉がカバーする大きな範囲のプロジェクトに打撃を与えていると考えられる。この市場が再び盛り上がるには、マクロ経済や国際情勢の回復、各国の規制の見直しと定着など、いくつもの要因が必要になりそうだ。
ただこのような状況になった中でも、本イベントで語られたように、GameFiには大きな可能性が残っているのではないだろうか。業界を牽引しているプレイヤーたちがイベントで語ってくれたように、来年がGameFiの年になり、冷え込んだ市場を再び盛り上げていく起爆剤の一つになって欲しいと願っている。
※2022年10月20日に開催されたセッションを記事化したものです。本記事はイベントの内容をベースにしつつ、記事として読み安さを考慮し、登壇者の確認をもとに編集させていただいております。
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※この番組は一般的な情報の提供のみを目的として配信しているものであり、いかなる暗号資産、有価証券等、その他のデジタルアセットの取得を勧誘するものではありません。また、当社及び出演者による投資助言を目的としたものではありません。暗号資産投資、その他投資にはリスクが伴います。投資を行う際はリスクを了承の上、ご自身の判断で行っていただくよう、お願い申し上げます。
写真提供:B Dash Ventures株式会社
Source: https://www.neweconomy.jp/features/bdc22fp/284915