株価下落でビットコインが過去最高値から50%下落、一方資金流入も | あたらしい経済

株価下落でビットコインが過去最高値から50%下落、一方資金流入も

ビットコインが2021年7月以来の安値に急落した。米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な引き締め路線への懸念から、米株式市場の低迷に連動して下落した。

時価総額で世界最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは、最安値で30,331.28ドル(3,951,756円)まで下落し、5カ月連続の下落となった。ビットコインは前回の下落では、9.8%安の30,724ドル(4,002,922円)だった。

ビットコインは5月に入ってから19%下落し、昨年11月に史上最高値の69,000ドルを記録して以来、その価格は半分になった。

5月9日の主要インデックス「S&P500」は、メガキャップの成長株の下落に先導され、2021年4月以来の安値を記録した。ナスダックは3%超の下落、アップル株も3%超の下落で、ナスダックとS&P500の最大のウエイトを占めた。

Hiroの最高経営責任者アレックス・ミル(Alex Miller)氏は「市場の変動は投機から生じていると考えています。そして、ビットコインも現在、非常に投機的であるため、その価格と他の暗号資産市場は一般的な市場と一緒に下がっています」と説明している。Hiroは、ビットコインのアプリケーションやスマートコントラクトを実現するネットワークであるスタックス(Stacks)の開発ツールを構築している。

世界第2位の暗号資産、イーサリアムのイーサ(ETH)は、1月下旬以来の安値となる2,245ドルまで下落した。

またアレックス氏は「弱気市場に備えるために最も重要なことは、バランスの取れたポートフォリオを維持し、暗号資産の冬に耐えうる余裕がない資産に過剰投資しないことです。これまでのあらゆる不況から見てきたように、ビットコインのような長期資産でできる最善のことは、ホールド、またはそれを行うように設定されている場合は、ポジションを増やすことです」と伝えている。

デジタル資産運用会社のコインシェアーズ(Coinshares)が月曜日に発表したレポートによると、ビットコインの価格低迷にもかかわらず、それに関連するファンドや商品には先週4500万ドルの資金流入があったようだ。

コインシェアーズの投資ストラテジスト、ジェームス・バターフィル(James Butterfill)氏は「投資家がビットコインの価格下落に乗じて資金流入させました」と述べた。

また暗号資産セクター全体でも4000万ドル(約52億円)の資金流入を記録したことが、コインシェアーズのレポートで明らかになっている。

暗号資産プラットフォームのスタック・ファンズ(Stack Funds)の最高執行責任者マット・ディブ(Matt Dibb)氏は「ビットコインの下落の他の要因は、週末に暗号資産市場の流動性が低くなってしまったからでしょう」と述べた。

また、アルゴリズム担保型ステーブルコインTerra USD(UST)がドルとのペグを失うのではないかという懸念も短期間ながらあったことも指摘。ステーブルコインとは、法定通貨(多くは米ドル)にペグされたデジタル・トークンのことである。

Terra USD(UST)は、1対1のドルペッグを維持する斬新な方法と、創設者がステーブルコインを支えるために100億ドル相当のビットコインを準備金にする計画を打ち出しているため、USTの変動がビットコイン市場に波及する可能性があることから、注視されている。

なおビットコインを法定通貨として採用しているエルサルバドル政府は10日、ビットコイン500BTCを追加購入した。エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領が自身のツイッターで明かした。

ブケレ大統領によると今回の500BTCは、取得平均価格の30,744ドル(約400万円)で押し目買いしたとのこと。一時3万ドルまで落ち込んだ9日のビットコインの大幅下落を受け、購入したと思われる。そして今回の追加購入により、エルサルバドルのビットコイン合計保有額は2,301BTCとなった。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
(Reporting by Alun John in Hong Kong, Elizabeth Howcroft in London, and Gertrude Chavez-Dreyfuss in New York; Editing by Kim Coghill and Will Dunham)
images:ロイター
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/222863