暗号資産の確定申告をしなかった場合はどうなる?
暗号資産取引で一定以上の利益が出た場合、確定申告を行い納税する必要がありますが、確定申告をしなくても「少額の利益ならバレないのでは?」と考える方も少なくありません。
今回は、暗号資産取引で発生した所得を申告しなかった場合はどうなるのか、発覚した際のペナルティにはどのようなものがあるのかについて解説していきます。
暗号資産の所得無申告はバレないのか?
暗号資産取引で発生した所得について、確定申告しなかった場合はどうなるのでしょうか?
国税通則法の改正により、国税庁は暗号資産取引所などの事業者に対して任意の協⼒を求め、必要な情報を照会することができるようになったため、取引所で行った取引についてはある程度把握することができるという認識を持っておきましょう。
また、「海外取引所の取引ならバレないだろう」と考える方も少なくありませんが、税務調査が入った際には送金履歴などから海外取引所での取引についても確認がなされます。実際に、海外の暗号資産プロジェクトに参加した複数の投資家が税務調査で申告漏れを指摘されたという事例が世間の大きな注目を集めました。
暗号資産は他の金融商品と比較して取引を追跡することが難しい性質があるため、無申告でも大丈夫と考えがちですが、行った取引はある程度把握されうるという認識を持って適切に確定申告を行うことが重要です。
暗号資産の確定申告を行わなかった場合のペナルティ
暗号資産による所得の申告漏れを指摘された場合、どのようなペナルティが課されるのでしょうか?
ここからは、主に課せられるペナルティについて見ていきましょう。
延滞税
延滞税とは、確定申告を期限内に行わないまたは本来納付すべき税金が納められていない場合に発生する、いわば税金に対する利子のようなものです。原則として、申告(納付)期限日の翌日から納付までの日数に応じて、利息相当分の延滞税が自動的に課されます。
延滞税は申告が遅くなればなるほど年率が高くなり、最大で14.6%となります。もし期限を過ぎてしまっている場合は、できるだけ早いタイミングで納付しましょう。
4つの加算税
延滞税の他にも、加算税と呼ばれる税金が発生します。
加算税とは、適切な確定申告および納税が行われなかった場合にかかるペナルティです。これは延滞税とは違い、発覚したタイミングで課税額が課されます。
加算税の種類は、「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」「不納付加算税」の4つがあります。過失の大きさによって、該当する加算税とそれに応じた税率は異なるので注意しなければなりません。
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告期限内に確定申告を行ったが、税金の納付額が足りない場合に課税されます。
ただし、税務調査の通知前までに自主的な修正申告を行えば課税されないため、気がついた時点で早めに修正申告を行いましょう。
無申告加算税
無申告加算税とは、文字通り確定申告を忘れていたり、期限後に確定申告をしたりする場合に課せられます。税金をごまかす意図がないと判断される場合は、通常この加算税に該当します。
重加算税
重加算税とは、所得や税金の意図的な隠蔽行為によりごまかされた税金に対してかかり、最大50%と最も重いペナルティが用意されています。
不納付加算税
不納付加算税とは、給与の支払いなどから天引きした源泉所得税を納付期限までに納付しない税金について、会社に対して課せられる加算税で、暗号資産の取引を行う個人に対して直接的な関係はありません。
暗号資産の確定申告は忘れずに
暗号資産などを専門とするプロジェクトチームが設置され、また、取引所への顧客情報の照会が可能になるなど、国税庁・税務署の無申告者への対策は整ってきており、暗号資産投資家への税務調査も増えてきています。
「面倒だから申告したくない」「少しの利益なら良いだろう」といった考えが、後々大きな問題にも発展しかねません。現在ではGtaxなどの損益計算ツールの普及により、取引によって発生した所得の計算はだれでも正確に、手間を掛けずに行えるようになってきています。暗号資産取引を行っていて利益が出ているなと感じたら、必ず損益計算・確定申告を実施しましょう。
(つづく)
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寄稿
この記事は株式会社Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)の寄稿記事です。暗号資産(仮想通貨)の損益計算ツール「Gtax」はこちらから↓
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image/iStock:Photoplotnikov・kazuma-seki
Source: https://www.neweconomy.jp/features/ctax/199808