パナマが暗号資産の利用を許可する法案を可決
中米パナマ共和国の国会議員らは4月28日、オフショア金融サービスの拠点として知られる中米の同国において、デジタル資産の使用と商業化を規制する法案を承認した。
同法案はデジタル資産の私的・公的利用を認め、暗号資産(仮想通貨)による納税を可能にするものだ。この法案により、パナマは金融の透明性に欠ける国であるという評判が高まる可能性があると、専門家は警告している。
この法案は昨年ビットコインを法定通貨としたエルサルバドルの法案よりも範囲が広いと、法案提案者であるガブリエル・シルバ(Gabriel Silva)氏は述べている。
シルバ氏は「芸術作品のような様々な種類のデジタル資産が出現しています。だからこそ、暗号資産だけに限定したくなかったのです」とコメントしている。
この法案の対象は、デジタル資産の取引や利用、デジタル証券の発行、新たな決済システム、貴金属のトークン化となっている。トークン化とはある資産に対する権利をデジタル形式に変換することだ。
またパナマ人はこの新しい法律の下で、民事または国内の法律で禁止されていない商業活動の支払い手段として、デジタル資産を使用することができるという。
パナマは欧州連合(EU)のタックスヘイブンリストに掲載されている。金融投資顧問会社K&Bファミリーオフィスのロメイン・ドロマードCEOは、この法案によって透明性が増すとは言えないと指摘した。
同法案は今後、同国大統領のラウレンティノ・コルティゾ(Laurentino Cortizo)氏が署名することになっているが、議会では賛成38票、棄権2票、反対0票で承認されている。
トークン化企業のフィノール(Feänor Corp)のベリサリオ・カストリオ・サエンツ(Belisario Castillo Saenz)氏は「パナマではインターネットの普及率は高い。しかし銀行口座を持つ人は4人に1人に過ぎないことから、デジタル資産は銀行口座を持たない人を支援できる」と主張した。
また暗号資産とブロックチェーンに関する教育サービスなどを提供するクリプトSPA(CryptoSPA)のホセ・ファブレガ(Jose Fabrega)氏は「この法案により、今まで暗号資産を使うことに障壁を作っていた銀行が、より強力的になる可能性があるだろう」と述べている。
そういった意見はあるが、K&BファミリーオフィスのドロマードCEOは「新しいルールの下で銀行が果たす役割は不明確」だとし、従来の金融機関が資産を利用するためには何年もかかると予測している。
またドロマード氏は、中小企業はこのようなボラティリティの高い資産に乗り換えることはできないだろうとも主張している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Panama passes bill to permit use of crypto assets Reporting by Elida Moreno and Valentine Hilaire; Editing by Cynthia Osterman
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/220538