コンチネンタルタイヤが伊藤忠の「PROJECT TREE」に参加、ヤナセ販売タイヤを「責任ある調達証明」に

コンチネンタルタイヤが天然ゴムトレーサビリティプロジェクト「PROJECT TREE」に参加

コンチネンタルタイヤ・ジャパンが、ブロックチェーンを活用して天然ゴムのトレーサビリティおよび持続可能性の実現を目指すプロジェクト「PROJECT TREE(プロジェクト・ツリー)」に参加したことを8月31日発表した。同社は「PROJECT TREE」に参加することで、環境、社会へ貢献とサプライチェーンの透明性と持続可能性の向上、日本国内での持続可能なタイヤの販売を目指すとしている。

コンチネンタルタイヤはベンツなどの欧州車の工場出荷段階での装着率で1位のメーカーで、世界4位のシェアも誇る企業だ。

また「PROJECT TREE(Transparent Rubber Ecosystem for Earth)」ではブロックチェーンを活用することで、産地や流通経路が管理、証明された天然ゴムをタイヤメーカーに供給し、そこで生産される協賛タイヤの売上の一部から原料サプライヤーへ対価を支払う仕組みを実装し、スマートフォンや銀行口座を持たない小規模農家に対して、農具・肥料や生産性向上のための研修を提供している。

また同プロジェクトのトレーサビリティシステムのブロックチェーンを活用基盤には、エンタープライズ向けブロックチェーンの「ハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)」が利用されている。伊藤忠テクノソリューションズが開発し、伊藤忠商事が昨年12月から商用展開をしている。

コンチネンタルタイヤによるとタイヤの主原料となる天然ゴムは、世界の消費量のうち約70%がタイヤ生産に利用されており、その生産量の約85%が主に東南アジアのプラテーション農業依存しているという。世界的なモータリゼーションによって今後も天然ゴムの高い需要が見込まれるなか、「PROJECT TREE」により生態系や人権に関わるリスクを最小限に抑えることにつながると説明されている。なおプラテーションとは、熱帯・亜熱帯地域で単一作物の栽培を行う大規模農園のことだ。

コンチネンタルタイヤ・ジャパンは今回のプロジェクト参加第一弾の取り組みとして、同社提供の乗用車用オールシーズンタイヤ「AllSeasonContact (オールシーズン・コンタクト) 」をPROJECT TREE協賛タイヤとして取り扱い、ヤナセのネットワークで販売を開始するとしている。

また同ネットワークで販売した同タイヤの売り上げの一部は、「PROJECT TREE」の活動に充てられるとのことだ。

「PROJECT TREE」の仕組み

「PROJECT TREE」の仕組みとしては、天然ゴム加工会社が調達する原料が当該システムのスマートフォンアプリによって、取引内容・日時・位置情報などをブロックチェーン上に記録し、地図上に表示される。その後工場内で加工され、原産地情報付きの天然ゴムとしてタイヤメーカーへ販売。これによりタイヤを生産するメーカーは責任ある原料調達を証明できることになる。

またこのタイヤメーカーで生産される協賛タイヤの売上の一部から原料サプライヤーへ対価を支払う仕組みがシステムに実装されている。またスマートフォンや銀行口座を持たない生産農家に対しては、農具や肥料、生産性向上のための研修が提供されるという。これらの仕組みにより世界生産量の約85%を小規模農家に依存するタイヤ生産を持続可能(サステナブル)にする狙いのようだ。

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参考:コンチネンタルタイヤ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Chonlatee-Sangsawang

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/256615