エアリアルパートナーズ、「コイン相場」を事業譲受
暗号資産の税務会計ソリューションを提供するエアリアルパートナーズ(Aerial Partners)が、COINJINJA運営のアプリ「コイン相場」の事業譲渡契約を締結したことを2月8日に発表した。
「コイン相場」は世界各国の暗号資産取引所の価格チャート情報、時価総額ランキング、ニュースキュレーションを始め、ポートフォリオ管理やウォレット機能、レート計算、デモトレードなど暗号資産取引に必要な機能を網羅した暗号資産総合アプリ。累計ダウンロードすうは70万を超えるとのこと。
なお契約締結日は2023年1月19日で、事業譲渡日は2023年夏頃を予定している。事業譲渡日まで、「コイン相場」はCOINJINJAによる運営が継続するとのこと。
エアリアルパートナーズが「コイン相場」を事業譲受した理由は、同社が運営する損益計算サービス「Gtax」やデジタルアセットの総合データ管理ソリューション「Aerial Data Management」などとシナジー効果があると考えたからのようだ。リリースでは「主に会計(財務報告・経営管理)や税務の課題を解決する事業を拡大する中で、デジタルアセットユーザーのより広い課題解決を行うために、この度暗号資産総合アプリ『コイン相場』事業を譲受いたしました」と説明されている。
今後は、エアリアルパートナーズは既存サービスと「コイン相場」の連携を通し、Web3時代における、分散するすべてのデジタルアセットの取引・データ管理・レポーティングをつかさどる総合プラットフォームとなるサービスの提供に向けて、2023年度以降に順次リリースしていく予定だという。
Aerial Partners代表取締役の沼澤健人氏は「コイン相場事業の譲受けを発表できることを大変喜ばしく思っています。私自身も1ユーザーとして、コイン相場アプリのリリース当初から、洗練されたプロダクトでデジタルアセットの利用にまつわる課題を解決し、業界の発展の一端を担っているCOINJINJAチームの姿勢を大変尊敬しておりました。
Web3業界のイノベーションが繰り返される中で、デジタルアセットの利活用に際して、日々複雑化するユーザー課題を解決する統合プラットフォームを目指すという大きなビジョンに共感していただいたCOINJINJAチームに、この場をお借りしてお礼申し上げます。今後は、創業以来培ってきたデジタルアセットのデータ管理領域のプロダクトに加え、デジタルアセットのより便利な利用を実現するサービスの提供を目指します」とコメントしている。
COINJINJAのCo-founderである沼崎悠氏は「このたび、2017年にリリースした暗号資産アプリ「コイン相場」をAerial Partners様に譲渡することになりました。アプリのリリースから5年をむかえ、暗号資産を取り巻く状況も大きく変わり、本格的なマスアダプションが視野に見えつつある中で、今後のWeb3市場の拡大に合わせ事業をより伸ばす方法を考えた末に、今回の意思決定に至りました。
我々とほぼ同時期に暗号資産業界で事業をスタートし、BtoB、BtoCともにデジタルアセットのデータ管理の分野で実績をお持ちのAerial Partnersさんであれば、コイン相場を成長させ、そして既存のユーザーにとっても安心していただける事業者さんであるという確信をもっています。これからAerial Partnersさんの既存事業とのシナジーを含め、さらに進化していくコイン相場を、引き続き是非よろしくお願いします」
Aerial Partners代表取締役の沼澤健人氏へ取材
「あたらしい経済」編集部は、Aerial Partners代表取締役の沼澤健人氏へ取材を行った。
–コイン相場の事業譲受は、いつ頃から考え始めていたのでしょうか? また最終的に、なぜコイン相場を取得しようと考えたのでしょうか?
デジタルアセットの(会計・税務対応を主な目的とした)データ管理領域から事業を開始し、ポートフォリオの管理、そして取引の管理へと、デジタルアセットの取引全般にわたってプラットフォームとして機能するようなプロダクトへと発展させていくという構想は、2017年の創業当初から持っていたものです。
サービスの譲受を決めた一番の理由は、リリース当初より一人のユーザーとしてコイン相場のもつポテンシャルを感じていたことです。昨年夏頃よりCOINJINJAチームとコミュニケーションをする中で、弊社の志に共感いただいたことから、今回の発表に至りました。
–データドリブンに暗号資産投資家のニーズに応えていくために、今後エアリアルパートナーズはどのような戦略を持ち、実行していくのでしょうか?
まず、コイン相場アプリとGtaxを連携することにより、日常のポートフォリオ管理から、損益計算・確定申告を行うフローをより便利に実現していただくことが可能になります。
また、Gtaxはデジタルアセットの取引による所得がある(利益が出ている)ユーザーを中心に利用いただいていますが、コイン相場はライト層も含めて幅広いユーザー層をカバーしています。
現時点では詳細を控えますが、今後はポートフォリオ・取引データの「管理を正しく行う」ためのサービス提供だけでなく、デジタルアセットをより「便利に利用する」ためのサービス等をリリースしていきます。
–今後、暗号資産市場で重要になっていくことは何だと考えていますか?
広い意味でのインターフェースが必要だと考えています。暗号資産を含むWeb3の市場においては、インフラストラクチャーからアプリケーションまで、すべてのレイヤーで日々イノベーションが繰り返されています。
それと同時に、技術主導で成長を遂げている業界の特性もあり、現時点においては広く一般のユーザーにとってデジタルアセットが便利に使えるような環境が整備されているとは言いづらい側面もあります。
新しい技術と、我々ユーザーの間にはまだまだ体験的・制度的な摩擦が多く存在しています。Aerial Partnersチームは、今後もそういった課題を取り除けるようなプロダクトをつくり続け、価値革命を支える欠かせないインフラとなるようなサービス提供を目指していきます。
関連ニュース
SUSHI TOPと「tofuNFT」のCOINJINJAが業務提携
【取材】コインジンジャ、NFTマーケットプレイス「tofuNFT」の日本展開開始へ
Web3時代のブラウザにあたるものを発明する〜Aerial Partners 代表取締役 沼澤健人氏インタビュー(1)
耳から学ぶ「暗号資産(仮想通貨)の税金と確定申告」(Aerial Partners 沼澤健人)
web3の未来は? 暗号資産/ブロックチェーン業界を牽引する80人の「2023年の展望」
参考:AltFi
デザイン:一本寿和
images:iStock/jossnatu
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/294581