Settlerが暗号資産ポートフォリオ管理サービス、国内主要取引所に対応
暗号資産(仮想通貨)関連事業を⾏うセトラー(Settler)が、暗号資産ポートフォリオ管理サービスの提供開始を8月30日に発表した。
このポートフォリオ管理サービスでは、暗号資産取引所やブロックチェーン上にある各暗号資産の数量、⽇本円建て⾦額、ポートフォリオに占める割合を⼀括で把握できるとのことだ。またステーキングやレンディング中の資産も把握できるという。
具体的に、セトラーは取引所APIとユーザーのウォレットアドレス入力によって資産データを取得し表示させている。また毎⽇00:00(UTC)頃の資産額の推移の把握が可能とのこと。またウォレットコネクト(WalletConnect)によるログインにも対応している。
対応する取引所はバイナンス(binance)、ビットバンク(bitbank)、ビットフライヤー(bitFlyer)、バイビット(bybit)、コインチェック(Coincheck)、FTX、GMOコイン、ザイフ(Zaif)となっており、対応ブロックチェーンはイーサリアム(Ethereum)、バイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain)、ポリゴン(polygon)とのこと。
なお対応する取引所やブロックチェーンは、今後随時追加していく予定だという。
Settler代表取締役の脇本佑磨氏へ取材
「あたらしい経済」編集部はSettler代表取締役の脇本佑磨氏へ取材を行った。
なお脇本氏は2014年にMt.Gox事件でビットコインを知り暗号資産の世界へ参入したという。これまでの投資歴は株式20年、暗号資産8年、FX5年でまたエンジニア歴は組込5年、web11年とのこと。脇本氏は2022年1月にセトラーを起業し、今回暗号資産ポートフォリオ管理サービスを発表した。
––具体的にポートフォリオ管理サービスを開発・提供しようと思ったきっかけは、なんでしょうか?
1つめの理由は私自身が取引所やDefi上で暗号資産トレードを日常的に行っており、それら散らばった資産のポートフォリオ管理がしたかったからです。Defiの登場以降コントラクト内にも資産が置かれるようになり一括で資産把握するのがどんどん困難になってきました。私の投資スタイルではアセットアロケーションが非常に重要なのでこのようなポートフォリオ管理サービスを必要としておりました。
2つめの理由は当初弊社は暗号資産の会計サービスをリリースしようとしていましたが、初めてのプロダクトとするにはあまりにも重すぎたからです。実際に会計サービスの開発を初めてみると想定していた要件を満たす会計サービスの開発に非常に多量の工数がかかり、マスターデータの陳腐化を防ぐ等の様々な恒常的なオペレーションが必要だとわかりました。そこでまずは比較的工数がかからないポートフォリオサービスを用意しようとなりました。
3つめの理由は、会社起ち上げ時より弊社は「シミュレーションゲームのように、お金を把握できる社会を実現する。」をビジョンとして掲げており、ポートフォリオ管理サービスがまさにこのビジョンにぴったりなプロダクトだからです。
––Settlerは、今後どのような方針を持ちサービス提供されていくのでしょうか?目玉となりうる方針について教えてください。
今後は「シミュレーションゲームのように、お金を把握できる社会を実現する。」という弊社のビジョンの通り、お金周りのDX化に注力していきたいと考えております。暗号資産がお金周りのDX化と親和性が高いと思われるので今後も暗号資産関連で事業展開するつもりですが、このビジョンを実現できるのであれば特に暗号資産である必要はないと考えております。
––いま世の中で提供されているポートフォリオサービスで欠けている部分は、なんでしょうか?
世の中のポートフォリオサービスは想定する利用者様の属性がわりとそれぞれで異なっており一概にこれが欠けているとは明言できません。
一方で弊社のポートフォリオサービスが想定する利用者様は比較的多種の暗号資産に中長期で投資されている方で、世の中のこのような属性の方向けのポートフォリオサービスに欠けている部分を考えてみると、むしろ弊社のポートフォリオサービスで欠けている部分ばかりが思い浮かびます。 今後それらを改善していきたいと思います。
––またウォレットアドレスに関連するポートフォリオのプライバシーについて、どんな方針を持っていますか?
ウォレットアドレスやAPIキーを弊社が保持することで、お使い頂いている利用者様の資産情報という非常にセンシティブなデータを扱っておりプライバシーとは真剣に向き合う必要があると考えております。 極力ウォレットアドレスと紐づく利用者様の個人情報を弊社で持たないようにするというのがまず方針としてあります。個人情報をもたないので誰のアドレスなのか弊社でも把握しておりません。
もし仮に弊社のシステムがクラックされたとして保持しているウォレットアドレスが漏れ出たところでウォレットアドレス自体は公開されている情報ですので、それが誰の物なのかわからなければ何も漏れていないのとあまり変わりません。もちろんこれは漏れてもよいと言っているわけでは無く、それに甘んじること無くセキュリティには細心の注意を払って参る所存です。
images:istocks(artsstock・Maximusnd)
デザイン:一本寿和
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/255594