東京ドームがホテルやラクーアの優待をトークンで発行、三菱UFJ信託と
三菱UFJ信託銀行と東京ドームが、NFTの技術を用いて、株主優待等の特典や特定のアセットやサービスに関する利用権や会員権といった権利をトークンとして発行する取り組みを7月29日開始した。なお同社らの発表では、このトークンのことを「UT/ユーティリティトークン:デジタル優待権」と表現している。
なおトークンの発行には、三菱UFJ信託銀行が開発・運営しているトークン発行プラットフォームの「Progmat UT(プログマユーティー)」、また発行体がトークンを発行・管理できる「Token Manager」および権利者がトークンを利用できる「Token Wallet」が活用されたとのこと。なおこれら3つのサービスは今年2月から開発されていたものだ。
トークンの発行体となる東京ドームは、「Token Manager」でトークンを発行・管理し、権利者は「Token Wallet」上でトークンを受領したうえで随時トークンに付随する権利行使することができるとのことだ。なおこのトークンの権利者は現時点ではβ版を利用できる「Token Wallet」ユーザーに限定されるようだ。
東京ドーム周辺にある商業施設である東京ドームシティでは、現在デジタル技術を活用して街の認知拡大や魅力の向上、ファンエンゲージメント強化に向けた取り組みを強化しており、その一環として今回トークンを発行し、利用者とのつながりを拡充させていくことが狙いだ。
今回東京ドームが発行したトークンは「東京ドームホテル」と「東京ドーム天然温泉スパラクーア」に関するものだ。トークン保有者は「東京ドームホテル」の「スイートルームに贅沢ステイ 夕朝食付宿泊プラン」を特別優待価格(約60%OFF)で利用できる。
また「東京ドーム天然温泉スパラクーア」の購入から60日間何回でも入館できる特別パスを最大68%オフで購入することができるとのことだ。
三菱UFJ信託銀行のプロダクトマネージャー齊藤達哉氏へ取材
「あたらしい経済」編集部は、三菱UFJ信託銀行デジタル企画部デジタルアセット事業室のプロダクトマネージャー齊藤達哉氏へ取材を行なった。
−−今回発行されるトークンは、現行法上、どのような建付で発行可能となったのでしょうか?
現行における「株主優待」や「ポイント」「会員権」と同様の扱いで、金商法上の有価証券から発生する利子や配当でもないですし、資金決済法上の前払式支払手段(デジタルマネー※)でも暗号資産でもありません(※有償発行且つ通貨建資産且つ金銭払戻不可)。
ですので、現行法のまま特段の改正を要することなく、「株主優待」や「ポイント」「会員権」といった権利をトークンに表示したものがUTとなります。
−−またSTによる収益機会だけでなく、それに付随する利用機会は、ST発行のどのようなケースで必要性が高くなるとお考えでしょうか?
STの対象資産が、キャッシュフローを生み出す「資産価値」だけでなく、何らか利用が可能な「使用価値」も兼ね備えているケースが、最も「ファンマーケティング」として適合的です。
具体的には今回の事例のような「温泉旅館」等のレジャー施設(不動産)、又は「航空機」等のモビリティ(動産)が当てはまります。組み合わせを工夫することで、地域活性化等のニーズにも応えることができるものと考えています。
images:iStocks/sumkinna
デザイン:一本寿和
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/248694