ステーブルコインとETHはコモディティ
米CFTC(商品先物取引委員会)のロスティン・ベナム(Rostin Behnam)委員長が、ステーブルコインとイーサリアム(ETH)はコモディティ(商品)だとする考えを、3月8日の上院農業委員会公聴会にて明らかにした。
公聴会の中でベナム氏に対し民主党のカーステン・ギリブランド(Kirsten Gillibrand)上院議員は、CFTCと証券取引委員会(SEC)が持つ暗号資産の法規制に関する見解の違いについて質問した。
この質問を受け、ベナム氏は「ステーブルコインに関する規制の枠組みはともかくとして、私の考えでは(ステーブルコインは)コモディティになる」とし、「私たちの執行チームと委員会にとって、ステーブルコインであるテザー(USDT)がコモディティであることは明らかだ」と続けた。
またギリブランド氏の「(CFTCが)ETHに対する規制の影響力を勝ち取るためにどのような証拠を提出するのか」という問いに対し、ベナム氏は「ETHがコモディティであると強く感じていなければ」、ETHの先物商品をCFTCの取引所に上場することを「許可しなかった」と述べ、「(資産が)コモディティであるという主張を裏付ける重要な法的防衛策が無いまま、そのようなこと(上場の許可)をすれば、訴訟リスクや信用リスクもある」とコメントしている。
CFTCは米国内の先物取引の認可権を有しており、市場で流通する上場商品、金利またはデリバティブ全般を監督している。
2021年10月には、「USDT」を発行するテザー・ホールディングス(Tether Holdings Limited)に対し、「USDT」に関連する重要事項の虚偽表示および省略を行なったとして告発状を提出。その後テザーは、約47億円(4,100万ドル)の制裁金を支払って和解した。
SEC対CFTC
SECとCFTCは以前より暗号資産の法規制に関する討論を繰り広げている。
昨年10月、米証券業金融市場協会(SIFMA)の年次会合にてベナムCFTC委員長は、「イーサリアムは有価証券に該当しないと提案した」とコメント。「SECのゲンスラー委員長はそうではないと考えているだろう」と続け、リップル裁判の事例を暗に伝えた。
SECは2020年12月、「リップル社は2013年から、リップル(XRP)として知られるデジタル資産の販売を通じて資金を調達し、米国および世界中の投資家に無登録の証券を提供していた」としてリップル社を提訴。このリップル裁判は今もなお続いている。SECはその他暗号資産に関しても、有価証券性の調査・提訴を続けている。
また、ベナム氏はかねてより、デジタル資産の規制においてCFTCが主導的な役割を果たすよう議会に要請している。
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参考:Agriculture, Nutrition and Forestry(上院農業委員会)
デザイン:一本寿和
images:iStock/Lazartivan
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/302376