米議員ら、デジタル資産に関するテロなどへ制裁強化する法案発表、超党派で

党を越えて法案を発表

米議員らが、テロ組織を取り締まるためのことを目的としたテロ資金への制裁に関する超党派の法案を12月7日に提出した。

この法案は「2023年テロ資金調達防止法(Terrorist Financing Prevention Act of 2023)」と称されており、外国テロ組織およびその資金提供者が、通貨及びデジタル資産で米金融機関やその他機関にアクセスすることを防止するためのものだという。

なお同法案は、マーク・ワーナー(Mark Warner)上院議員(民主党)、マイク・ラウンズ(Mike Rounds)上院議員(共和党)、ジャック・リード(Jack Reed)上院議員(民主党)、ミット・ロムニー(Mitt Romney)上院議員(共和党)によって提出された。

法案には「現在、これらの制裁は、2015年にヒズボラ国際資金調達防止法が可決された後、主にレバノンのイスラム教シーア派のテロ組織ヒズボラに対して、限られた状況でのみ課せられている。本日提出されたテロ資金供与防止法は、この種の制裁を拡大し、ハマスなど米国が指定するすべての外国テロ組織(FTO)、およびこれらのFTOに支配されている、あるいはFTOのために行動するその他の外国当事者を対象とする」と記されている。

ワーナー上院議員は、「テロ資金供与防止法は、財務省がハマスやその他のテロ集団に対する制裁を執行するために必要な手段を確保するものだ」と述べている。

ラウンズ上院議員は、「財務省が現代の脅威と闘うために必要なテロ対策手段を持つことは極めて重要。テロ資金供与防止法は、テロ行為を支援する外国の金融機関やデジタル資産会社に制裁を加えることで、テロ根絶を目指す合理的な方法だ。テロ組織への資金提供を根源から断つことは、人命を救うことにつながる」と述べている。

またリード上院議員は、同法案が「外国の金融機関や暗号資産企業に、テロ組織と取引するか、米国の金融システムへのアクセスを続けるかの選択を迫る」ものだと説明。ハマスなどのテロ組織による新たな脅威から金融システムの完全性を守らなければならないと強調した。

同法案は米財務省に対し、FTOやその関係者との取引を故意的に促進する外国金融機関やデジタル資産取引機関の特定を求めている。

そのような取引機関が特定されると、制裁が課せられる。取引機関が銀行の場合は、米国の取引銀行口座の利用制限が、デジタル資産取引業者へは米国人とのデジタル資産やその他取引の禁止が要請される。

また法案には、上院議員が以前に提出した暗号資産国家安全保障強化執行法(Crypto-Asset National Security Enhancement and Enforcement:CANSEE)の重要な条項も含まれている。

この条項は、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に「デジタル資産と非伝統的金融ネットワークに関わる脅威に対処するための適切なツール」を提供するという。

ロムニー上院議員は「私たちの法案は財務省に対し、テロ対策とデジタル資産を含む新たな脅威に対処するための追加リソースを提供するものだ」と述べている。

テロ資金関連の暗号資産事業者へ制裁

米政府はテロ資金関連の暗号資産事業者への追及を強めている。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は10月18日、ガザをはじめスーダン、テュルキエ、アルジェリア、カタールなどにいるハマスの主要なテロリストメンバー、工作員、金融仲介者10人に制裁を科したことを発表した。

またウォーリー・アディエモ(Wally Adeyemo)米財務次官は、テロリストへの違法な資金提供を行う一部のデジタル資産企業に対し、テロ資金供与を阻止するための措置を講じなければ「米国および加盟国が行動を起こす」と警告している。

ステーブルコイン発行企業の米サークル(Circle Internet Financial)は今月、直接的または間接的にハマス(またはその他の不正行為者)などによる違法な資金調達に関与していない旨を主張する書簡を、シェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員とエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員に送っていた。

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参考:プレスリリース・法案
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Source: https://www.neweconomy.jp/posts/358113