他大手運用会社に続く
米大手資産運用会社フィデリティ(Fidelity)が、他の大手運用会社に続き、現物ビットコインETF(上場投資信託)を米証券取引委員会(SEC)へ申請する見通しであることを、THE BLOCKが関係者筋の話として6月27日報じた。
直近2週間で、ブラックロック(BlackRock)、ウィズダムツリー(WisdomTree)、インベスコ(Invesco)、ヴァンエック(VanEck)、ビットワイズ(Bitwise)が現物ビットコインETFをSECへ新たに申請し、ビットコインの価格は6月23日に31000ドルを超え、1年以上ぶりの高値を付けた。
なお、この件についてフィデリティはコメントを控えている。
ボストン拠点のフィデリティは、マーケット・メーカーであるシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)とバーチュ・フィナンシャル(Virtu Financial)、リテールブローカーのチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)、ベンチャーキャピタルのパラダイム(Paradigm)とセコイア・キャピタル(Sequoia Capital)を含むコンソーシアムの一員でもある。
「ビットコインETFができるという楽観的な見方が多い」とオアンダ(Oanda)社のシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏は語る。
「もしそれが実現すれば、より多くの機関投資家の資金や、おそらく一部の富裕層リテールトレーダーが暗号資産(仮想通貨)に再び参入する道が開けるかもしれない」
なおビットコイン先物契約の価格に連動する先物ベースのビットコインETFは2021年10月から規制当局によって認められている。
しかしSECは近年、ビットコインの価格に直接連動する上場投資信託である現物ビットコインETFの申請を、基礎となるビットコイン市場が操作される可能性があるとの懸念から、2022年1月のフィデリティによるものを含め、何十件も却下してきた。
モヤ氏は、ブラックロックが現物ビットコインのETFを申請したのは、多くの人にとって今回のゲームチェンジャーとなったと語った。
昨年末には数十億ドル規模の詐欺を働いたと主張する取引所FTXが突然破綻するなど、暗号資産関連企業のメルトダウンが相次いだ。そのためETFの申請はビットコインや広範な暗号資産市場のネガティブな心情を覆す一助となった。
最近では、規制当局の監視がこのセクターに重くのしかかっている。今月、2大暗号取引所であるバイナンス(Binance)とコインベース・グローバル(Coinbase Global)がSECから規則違反の疑いで訴えられたが、両社はこれを否定している。
「投資家や投機家は、最近の現物ビットコインETFの申請を、暗号資産分野への信任投票と見ている」と、ビットコイン報酬会社ロリ(Lolli)のCEOであるアレックス・アデルマン(Alex Adelman)氏は語る。
これとは別に、以前SECはグレイスケール・インベストメント(Grayscale Investment)社から、同社の代表的現物ファンドであるグレイスケール・ビットコイントラストをETFに転換する申請を受けたがこれを却下。SECはこの件でグレイスケールから訴えられている。
グレースケール社は、現物ファンドも先物ファンドもビットコイン価格に依存しているため、現物ファンドにも同じ設定が適用されるべきだと主張している。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Fidelity readies new spot bitcoin ETF filing – report By John McCrank and Niket Nishant
Reporting by John McCrank in New York and Niket Nishant in Bengaluru; additional reporting by Hannah Lang in Washington; Editing by Krishna Chandra Eluri, Michelle Price and Lisa Shumaker
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/322549