米SEC、現物ビットコインETFを承認も「暗号資産の大部分は投資契約」との立場崩さず

現物ビットコインETFが承認

米証券取引委員会(SEC)が、複数の暗号資産(仮想通貨)ビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)を承認したと1月10日発表した。

SECのウェブサイトによれば、承認された現物ビットコインETFは、ビットワイズ(Bitwise)、グレイスケール(Grayscale)、ハッシュデックス(Hashdex)、ブラックロック(BlackRock)、ヴァルキリー(Valkyrie)、BZX、インベスコ(Invesco)、ヴァンエック(VanEck)、ウィズダムツリー(WisdomTree)、フィデリティ(Fidelity)、フランクリン(Franklin)による11本だ。

SECは「慎重に検討した結果、私たちは、本提案が取引所法および全国証券取引所に適用される同法に基づく規則および規制と整合的であると判断した」と述べている。

ゲンスラー委員長の声明

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は1月10日の声明にて、「状況は変わった」と述べた。グレイスケールとの法廷争い等を経て、「このような状況や、承認命令の中でより詳細に議論された状況を踏まえ、私は、ビットコインの現物ETP株の上場と取引を承認することが、最も持続可能な道であると考えている」とゲンスラー委員長は述べている。

一方でゲンスラー委員長は、今回の決定は「暗号資産証券の上場基準を承認するというSECの意志を示すものでは決してない」とも主張。

「ビットコインという非証券商品を保有するETPに限定されていることである。これは決して、SECが暗号資産証券の上場基準を承認する意思があることを示すものではない」とし、「以前から申し上げているように、特定の暗号資産に偏見を持つことなく、暗号資産の大部分は投資契約であるため、連邦証券法の対象となる」との意見を貫いた。

またゲンスラー委員長は、SECは現物ビットコインETFを承認したが、ビットコイン自体を承認・推奨したのではないとし、「投資家は、ビットコインや暗号資産と価値が結びついた商品に関連する無数のリスクについて、引き続き慎重であるべき」と述べた。

SECとしては今後も「ビットコインは主に投機的で不安定な資産」として見ており、「ランサムウェア、マネーロンダリング、制裁逃れ、テロ資金調達などの非合法活動にも使用されていることに留意したい」と伝えている。

クリプトマムの見解

米証券取引委員会(SEC)コミッショナーであり「Crypto Mom(クリプトマム)」として知られるへスター・パース(Hester Peirce)氏も同日声明を出した。

パース氏は声明にて、「今日という日は、結果として不要であったが、重要な武勇伝の終わりを告げる日だ」とし、過去10年間、SECの行いでビットコインETFに関する「人為的な熱狂」を集めてしまったこと、「数百万ドルのスタッフの時間が、これらの申請を阻止するために費やされてきた」ことを非難した。そしてSECの不合理なアプローチのせいで、同分野の製品販売を不当に遅らせた可能性があり、イノベーターの一世代を阻害してしまったこともSECによる弊害の1つだとした。

またパース氏は、SECが機関の役割が何であるかについての人々の理解を混乱させたとも指摘。「SECは行政手続を乱用して、SECが好ましくないと考える投資対象を一般から遠ざけている」と述べた。

パース氏はこれらの弊害について反省すべき時ではあるが、同時に祝福すべき時でもあると述べた。同氏はビットコインやその関連商品を祝っているわけでなく、SECのビットコインに対する見解も関係ないとし、「米国の投資家がビットコインETPを売買することで、ビットコインに対する考えを表明する権利を祝っている。私は、SECの妨害に直面した申請者たちの10年にわたる粘り強さを称賛する」と結んだ。 

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参考:ゲンスラー委員長声明・へスター・パース氏声明
images:iStock/Ket4up

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/363285