年初は現物ETF報道に振り回されたビットコイン、ARKへの承認判断の最終期限1月10日に迫る(暗号資産 週間市場レポート 1/9号)

12/31~1/6週のサマリー

  • Matrixportがビットコイン現物ETFの2024年1月承認の可能性を否定するレポートを公表
  • SECが既提出のビットコインETF申請書についてETFを取扱うことになるNASDAQ・NYSE・CBOEと協議していると報道
  • Grayscale、VanEck等がSECに「フォーム8-A」を提出

暗号資産市場概況

12/31~1/6週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+6.53%の6,353,000円、ETH/JPYの週足終値は同-0.05%の324,250円であった(※終値は1/6の当社現物EOD[1/7 6:59:59]レートMid値)。

暗号資産市場は、一週間を通じBTC現物ETF承認関連の報道が耳目を集めた。ETHが前週比ほぼ同値で週を終えたのに対しBTCは前週比で大幅な上昇を見せたことや、週半ばのETF早期承認の否認予想(後述)への反応の大きさからも、参加者がETF承認に寄せる期待が改めて浮き彫りとなった格好だ。

週初の暗号資産市場は、「SECがBTC現物ETFについて1/2または1/3に承認通知を行う可能性がある」とのロイター報道を背景に上昇。BTCは昨年の最高値である$45,000を超え、一時$46,000に迫った。3日には暗号資産サービスプロバイダーのMatrixport社が「SECは1月の段階ではすべてのETF提案を拒否するのではないか」とするレポートを公開。ETF早期承認が確実視されていた中で本ニュースは市場にとって大きなサプライズとなり、BTCは直近1年間で最大規模水準の約6億ドルの清算を伴って高値から10%以上下落した。

4日には、SECがETF承認時の主要取扱先となる取引所各社(NASDAQ・NYSE[ニューヨーク証券取引所]・CBOE[シカゴ・オプション取引所])とETF申請書について会合を開いたとの報道が流れ、現物ETFを申請中のGrayscaleやVanEck等がSECに「フォーム8-A」(取引所にETFを上場するために必要な手続きの一部)を提出したことを発表。承認が近付いているのではないかとの思惑から相場は上昇に転じた。

発表されたFOMC議事録についても少しだけ目を向けたい。前回FOMC後のパウエル議長発言はハト的であり、2024年の金利引き下げ期待が市場に織り込まれていたが、4日に公開された議事録では、インフレ率がFRBの目標に対し明確かつ継続的に低下するまで金融政策は引き締め的であるべき旨が強調された。利下げに対する市場期待との温度差は、今後の相場観を考える上で念頭に置くべきだろう。

次週以降の動向について、ARK 21 SharesのBTC現物ETF承認可否の最終判断期限が1月10日に迫っている。各社横並びでの承認も十分にあり得るため、まずは足もとのBTC現物ETFヘッドラインに注意を払いたい。BTCの結果が確定した後は、市場の関心はETHの現物ETFへと移っていくことが想定される。先週がそうであったように、承認の可否にかかわらず、ヘッドライン直後はボラティリティが非常に高まる恐れがあるため、ポジションの管理には十分注意されたい。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

12/31~1/6週の主な予定

1/7~1/13週の主な出来事

今週のひとこと「そもそもETFとは?」

年末年始の暗号資産市場において最も取り上げられた話題は「ETF」ではないでしょうか。ETFとは、上場投資信託(Exchange Traded Funds)の略語であり、様々な指数や銘柄に分散投資するファンドの長所と、いつでも取引することができる株式の長所を組み合わせた商品です。大きく分けて、TOPIX(東証株価指数)やNASDAQのように株価に連動するインデックス連動型と、連動対象指標が存在しないアクティブ運用型の2種類 が存在します。いずれのETFも、複数のアセットが一つのパッケージになっており、個別分析が不要なことで初心者や多くの安定志向投資家から支持を集めています。

ETF商品は、少額から複数の株や指数に投資することができ、投資家が直接投資商品を持たずに利益を見込める上、取引タイミングの自由度も高くなっています。また、国によっては現在の暗号資産に比べ、税制上有利になるケースも考えられます。反面、売買するタイミングが市場参加者の判断になること、仲介手数料や運用報酬などのコストがかかること等のデメリットも存在します。

年始のご挨拶

あけましておめでとうございます。本号は2024年初のレポートです。

本年はBTC・ETHの現物ETF承認可否判断に始まり、BTCの半減期やETHのアップグレード(Dencun)等、暗号資産市場が規模を拡大していく上で重要な一年となることが期待されます。

部員一同、市場動向を踏まえたレポートを配信できるよう尽力してまいります。

本年も何卒よろしくお願いいたします。

このレポートについて

国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。

→「SBI VCトレード」はこちら

<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
当社の取り扱う暗号資産のお取引にあたっては、その他にも注意を要する点があります。お取引を始めるに際しては、「取引約款」、「契約締結前交付書面」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただきご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。

Source: https://www.neweconomy.jp/features/sbivct/363002