INXが米リパブリックと提携、資産トークン化で

リパブリックがINX株100%取得契約も検討

 デジタル証券および暗号資産(仮想通貨)の取引プラットフォームを提供するINX Digital Company(INX)が、グローバル金融企業リパブリック(Republic)と提携すると6月20日発表した。

この提携により、リパブリックはINXに対し525万ドル(約7.4億円)を出資したという。リパブリックによるINXのプレマネー(資金調達前の企業価値)評価額は5000万ドル(約70.8億円)とのことだ。

この投資によりリパブリックは、INXの株式の約9.5%を保有することになったという。

また、これに伴い両社は協業契約を締結。今後、リパブリックがINXの普通株式の100%を最大1億2000万ドル(約170億円)の評価額で取得する契約も両者で検討していくという。

発表によれば両社は、TradFi(伝統型金融)とDeFi(分散型金融)の両方における専門知識とリソースを組み合わせることで、一時市場(発行された資産を投資家が取得する市場:プライマリーマーケット)と二次市場(投資家間で売買される市場:セカンダリーマーケット)の両方に対応する、規制に準拠した幅広いソリューションを導入する予定だという。また、デジタル経済のニーズをサポートするリテールに特化した基盤インフラを構築していく構えだ。

リパブリックは2016年設立の米ニューヨークに拠点を置くグローバル金融企業だ。

同社は、投資家がスタートアップ企業に10ドルから投資できるプラットフォームを運営しており、ユーザーは不動産や暗号資産、ブロックチェーンプロジェクト、ゲーム開発企業などに投資を行うことができる。

また同社は、VCのギャラクシーインタラクティブ(Galaxy Interactive)や大手金融機関のモルガンスタンレー(Morgan Stanley)などから支援を受け、1500社以上の企業と100カ国以上から集まった約300万人のユーザーを有しているという。現在、米国をはじめ、英国、アラブ首長国連邦(UAE)、韓国、シンガポールで事業展開を行っている。

INXのCEOであるシャイ・ダチカ(Shy Datika)氏は「我々の目標は、グローバルなトークンエコノミーを育成・成長させることであり、その運営をサポートするだけでなく、世界中の投資家を興奮させる投資体験を提供するために必要なインフラを確立することだ」とコメント。「戦略的投資家としてのリパブリックとの協業を通じて、伝統的資産とデジタル資産の両方が繁栄するための肥沃な環境を作り出す」と続けた。

リパブリックのCEOであるケンドリック・グエン(Kendrick Nguyen)氏は、今回の投資を「金融の新時代の幕開けを意味するもの」と述べ、「INXの金融市場向けデジタル取引インフラとリパブリックの一次流通に関する専門知識を統合することで、資本調達の方法を再定義し、世界中の機関投資家と個人投資家の両方に力を与えることができる」とコメントしている。

協業契約で行われること

なお今回提携された協業契約によりINXは、リパブリックのポートフォリオ企業にセキュリティトークンやトークン化された株式などの資産トークン化サービスを提供するという。また年中無休で利用可能なINX ATS(代替取引所システム)で流通市場取引にそれらトークンを上場するとのこと。

さらにINXのビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ステーブルコインなどの暗号資産に対する取引・変換ソリューションを、リパブリックのエコシステムに統合する他、リパブリックのFXブローカー・ディーラー機能をINXのプラットフォームへ統合するとのこと。

さらにINX ATS(代替取引所システム)で暗号資産The Republic Note(NOTE)を上場することやINXの取引プラットフォームとリパブリックウォレットを統合するとのことだ。

INXについて

INXは2020年に自社のデジタル証券「INXトークン」をIPO形式で発行し、2021年5月にはデジタル証券取引プラットフォーム「DIGITAL ASSETS LISTING & TRADING」をローンチしている。

2021年9月には、GMOトラスト(GMO-Z.com Trust Company, Inc.) と提携し、子会社であるINX Digital(INXD)を通じて、日本円ステーブルコイン「GYEN」を上場すると発表。またGMOトラストの米ドルステーブルコイン「ZUSD」の上場も予定していた。

3月22日には、同社運営のST及び暗号資産を取り扱うプラットフォーム「INX.One」にて、セキュリティトークン「トラックパル(Trucpal)」の初回配当分配を行うことを発表。

また4月24日には、XMANNAとの提携により、XMANNAのトークン「XMNA」のSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)を行うことを発表していた。

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参考:INX
デザイン:一本寿和

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Source: https://www.neweconomy.jp/posts/320923