投資家保護の観点から
香港証券先物委員会(SFC)と香港金融管理局(HKMA)が、2つの投資家保護措置を追加し、暗号資産(仮想通貨)規制枠組みを更新した。SFCが10月20日発表した。
発表によれば、追加された措置は次の2つだ。
1つ目は、「販売制限」だ。複雑な商品と見なされる暗号資産関連商品は、プロの投資家のみに提供されるべきだとSFCは述べている。SFCは例えとして、海外の暗号資産ノンデリバティブETFを挙げ、同商品は複雑な商品と見なされる可能性が高いため、プロ投資家のみに提供されるべきとした。
2つ目は「暗号資産に関する知識テスト」だ。この措置は仲介業者が顧客に対し、暗号資産や暗号資産商品への投資に関する知識を有しているかどうかのテストを課すものだ。顧客が暗号資産に関する知識を有していない場合、仲介業者は顧客に「暗号資産の性質とリスクに関する研修」を行った場合のみ、取引が行えるとのことだ。
また仲介者には、顧客が暗号資産に関する潜在的なリスクに対応できるだけの純資産を有しているかを確認する義務も課される。
投資家保護に注力するSFC
香港は、暗号資産取引所などの暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に対する新たなライセンス制度を導入する法案を昨年12月7日に可決。同法律は今年6月1日より施行され、これにより個人投資家の暗号資産取引が解禁となった。
香港政府はこれまで投資家保護の観点から、暗号資産取引を適格投資家のみに限定することを提言していた。しかし、それによりイノベーションの阻害や暗号資産事業者の海外流出、FTXのような海外取引所を利用することによる投資家被害などが発生したため、香港政府は2022年11月に「個人投資家による暗号資産取引の容認」を提案し、SFCが協議プロセスを開始していた。
SFCは9月に発生した暗号資産取引所JPEXをめぐる騒動を受け、暗号資産取引所を監視するため、香港警察(HKPF)とのタスクフォースを結成。
またSFCは投資家・金融教育協議会(IFEC)とともに、不正行為に対する意識を高めるためのパブリック・キャンペーンを開始する予定であり、マスメディア、ソーシャルメディア、教育講演など様々な手段で投資家教育をさらに強化し、暗号資産に関連するリスクや潜在的な不正行為に対する国民の理解促進を目指すとのことだ。
関連ニュース
- 香港規制当局と香港警察、暗号資産取引所監視のためのタスクフォース設立
- 香港が暗号資産ライセンス申請企業を公開へ、JPEXめぐる騒動受け
- 香港認可の個人向け暗号資産取引所OSL、評価額約191億円で売却検討か=報道
- 香港規制当局、無認可の暗号資産プラットフォームへ警告
- 香港初、HashKeyが個人投資家向けの暗号資産取引所として認可
参考:SFC
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Alex-Sholom
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/347499