Gemini Earnに対する訴訟の却下求める
ウィンクルボス(Winklevoss)兄弟が運営する暗号資産(仮想通貨)取引所のジェミナイ(Gemini)は5月26日、同社提供の「ジェミナイアーン(Gemini Earn)」が証券法違反だと主張する米証券取引委員会(SEC)の訴訟の却下を米判事に要請した。
SECは1月12日、暗号資産(仮想通貨)の貸出プログラムを通じて数十万人の投資家に証券を違法に販売したとして、「ジェネシスグローバルキャピタル(Genesis Global Capital LLC)」と「ジェミナイトラストカンパニー(Gemini Trust Company LLC)」の2社に対し、民事訴訟を行っている。
これを受け、今回の「ジェミナイトラストカンパニー(Gemini Trust Company LLC)」の要求が、マンハッタン連邦裁判所に提出されることとなった。
SECは、顧客がビットコイン(BTC)などの暗号資産をジェネシスに貸し出し、ジェミナイが4.29%という高い代行手数料を取る「ジェミナイアーン」をめぐり提訴。
SECによれば、このプログラムによって両社は数十億ドルの暗号資産を調達。しかし、サム・バンクマンフリード(Sam Bankman-Fried)氏が率いた暗号資産取引所FTXの破綻を受け、ジェネシスは昨年11月に引き出しを停止したとのことだ。
またジェネシスは、約34万人の「ジェミナイアーン」ユーザーから9億ドルの資産を預かってたという。SECは、ジェミナイとジェネシスが投資家保護を目的とした開示要件を回避していたと非難している。
要請提出書類にてジェミナイは、自社、ジェネシス、顧客間のローン契約は、流通市場で販売も取引もされておらず、資産の所有権を譲渡するものでもないため、証券としての資格はないと主張。「したがって、いかなる関係者もSECに登録する必要はなかった」とコメントしている。
これに対しSECはコメントを控えている。
ジェネシスの弁護士はコメントの要求にすぐには応じなかったが、棄却も求めていくとしている。
SECは、2021年にゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏が委員長に就任して以来、暗号資産市場の取り締まりを強化してきた。
同氏は1月、ジェミナイとジェネシスに対する訴訟は、「暗号資産の貸付プラットフォームやその他の仲介者が、時間をかけて確立された証券法を遵守する必要があることを、市場と投資家に明確にする」のに一役買っていると述べている。
欧州本部にアイルランドを選択
またジェミナイは、欧州の拠点をアイルランドにしたことを発表。同社共同創業者キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏のツイートにて5月26日明らかとなった。
ウィンクルボス兄弟は同日、アイルランドのレオ・バラッカール(Leo Varadkar)首相、アイルランドへの外国投資を担当する産業開発庁(IDA)の代表者らと会談。
ツイートによると「暗号資産の深い将来性と、その将来性を実現するための常識的な規制の重要性について」話したという。
なおジェミナイは昨年7月にアイルランド中央銀行から暗号資産サービスプロバイダー(VASP)の認可を受け、同国での暗号資産に関するサービス提供が可能となっている。
またキャメロン氏は、間もなくEU法となる暗号資産規制枠組みのMiCA(マイカ)を「常識的な規制である」とするジェミナイの考えも示している。
MiCAは、投資家保護の観点から、EU(欧州連合)の暗号資産サービスプロバイダーに向けて包括的な暗号資産市場規制を示す法案である。2020年9月に原案が提出され、複数のステップを踏みながら、5月16日に経済金融問題理事会にて採択された。MiCAは今夏に欧州連合広報に掲載され、発効予定だ。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Winklevoss twins’ exchange seek dismissal of SEC lawsuit over Gemini Earn By Jonathan Stempel
Reporting by Jonathan Stempel in Chicago; Editing by David Gregorio
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/316051