現物ビットコインETF承認に様々な声、SEC内で反対意見も

反対意見も

米証券取引委員会(SEC)が現物ビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)を承認したことで、各方面から様々な意見があがっている。

SECの委員で民主党のキャロライン・A・クレンシャー(Caroline A Crenshaw)氏は、現物ビットコインETF承認に反対する声明を1月10日発表した。

クレンシャー氏は声明にて、同ETFの原資となる現物市場は「詐欺と操作によって荒廃し、十分な監視がなされていない」と指摘。また同氏はビットコインマイニングと保有はかなり集中的なものであり、そのため少数の気まぐれや取引慣行に影響を受けやすく、さらには投資家らは暗号資産に関するリスクや価格を判断する材料をほどんど有していないと述べた。

クレンシャー氏は「承認された規則変更案が詐欺や操作を防止するために設計されたものであるだとか、適切な投資家保護が行われているとは到底思えない」と述べ、「これらの商品が市場に溢れ、ビットコインのスポット市場で蔓延している詐欺や操作によって、貯蓄を失う余裕のない米国世帯の退職金口座が直撃され、ETPにも影響を及ぼすことを懸念している」とし、今回の承認が与えうる影響を憂えた。

ウエダ氏の声明

SECの委員で共和党のマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏は今回の承認に同意するとしたが、承認命令に関する複数の点で強い懸念を示した。

具体的には、「承認の根拠とするために、これまで明確化されていなかった新たな基準を考案した」点、そして「ビットコインETP間の先行者利益を防ぐという、申請承認を早めたSECの動機を隠蔽している」点等が挙げられている。

ウエダ氏は「承認命令におけるSECの根拠と法的分析は、今後SECに提出される案件の先例となる可能性がある」と述べ、「今回SECは上場申請を承認したが、その根本的な分析手法は事実上、メリット規制(merit regulation)に相当する。したがって承認命令の欠陥のある理由は、今後何年にもわたって影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。

なおメリット規制とは、州の青空法に基づく慣行であり、証券募集の際には、完全かつ十分な情報開示が行われるだけでなく、実質的に公平、公正、衡平であることが求められる。

また青空法は、一般市民を詐欺から守るために証券の販売・ブローカー・ディーラーを規制する米国の州法だ。この青空法により全ての州は、全ての証券募集および販売、ならびに証券仲介業者および証券会社の登録が義務付けられている。

ウエダ氏は「SECの命令は、その分析と理由を透明性をもって示すことが重要」とし、その点において承認命令に示された根拠が、同氏の私的する点にもっと忠実であればよかったと思うと意見を述べた。

それらを踏まえてウエダ氏は「申請書類が取引所法に規定された承認基準を満たすと結論づけるには私独自の理由があるため、同命令に記載された法的分析には異論があるものの、私は承認注文の発行を支持する」と伝えている。

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長、「Crypto Mom(クリプトマム)」として知られる共和党のへスター・パース(Hester Peirce)氏、マーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏の3名は、「前倒し承認を認める命令」で現物ビットコインETFを承認することに票を投じた。なお民主党のハイメ・リザラガ氏とクレンシャー氏は反対票を投じていた。

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参考:キャロライン・クレンシャー氏の声明・マーク・ウエダ氏の声明
images:iStock/Kwun-Kau-Tam

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/363345