CFTCとFTCから訴えられる
米商品先物取引委員会(CFTC)は10月12日、暗号資産(仮想通貨)レンディング企業ボイジャーデジタル(Voyager Digital)の元CEO兼共同創業者を提訴した。CFTCは、ボイジャーデジタルおよび同社の経営陣が資産の安全性について顧客を欺きながら「過度なリスク」をとったことで、それが会社の破綻に繋がったと述べた。
なおCFTCは2018年、ボイジャーデジタルの立ち上げに貢献したスティーブン・アーリッヒ(Stephen Ehrlich)氏を、2022年2月から同年7月にかけて詐欺を働いたとして告発していた。
アーリッピ氏とボイジャーデジタルは顧客に対し、同社のプラットフォームに保管されたデジタル資産(時には20億ドル[約2,995億円]以上の評価額)の安全な保管場所を約束する一方で、現在倒産している4つの企業を含むリスクの高い取引先に「無謀にも」融資していたと、CFTCはニューヨークの連邦裁判所に提出した訴訟の中で述べている。
ボイジャーデジタルは、金利とマクロ経済状況の悪化の中で暗号資産価格が急落した後、セルシオ・ネットワーク(Celsius Network)とブロックファイ(BlockFi)とともに、2022年に破綻したいくつかの暗号資産関連企業のひとつだ。
アーリッヒ氏は声明にて、この疑惑に対し「憤慨し、深く落胆している」と述べた。
また同氏は「ボイジャーデジタルの有能な経営陣は、既存の規制構造を完全に遵守してプラットフォームを構築し、維持してきた。私たちのチームは一貫して規制当局とコミュニケーションをとり、緊密に連携していた」と述べている。
なおボイジャーデジタルはロイターのコメント要請に応じなかった。
CFTCのイアン・マッギンレー(Ian McGinley)執行局長は声明にて、「顧客のデジタル資産商品を安全かつ責任を持って扱うと表明しながら、その裏では、顧客の資産に対して衝撃的な無謀なリスクを取り、ボイジャーの破産と巨額の顧客損失を招いた」と述べている。
CFTCによると、ボイジャーデジタルは米国の顧客に対して17億ドル(約2,546.5億円)以上の負債を負っていた。
これとは別に米連邦取引委員会(FTC)は、ボイジャーが消費者の資産を取り扱うことを永久に禁止すると発表した。またFTCはアーリッヒ氏に対し、同社が破産に近づいていたにもかかわらず、顧客の口座は連邦預金保険公社(FDIC)によって保証されており、安全であると偽っていたとして、提訴している。
FTCの訴状には、アーリッヒ氏の妻フランシーヌ・アーリッヒ(Francine Ehrlich)氏の名前もある。彼女からのコメントは得られていない。
ニュージャージー州を拠点とするボイジャーデジタルは昨年7月、顧客の引き出しを停止し、暗号資産ローンの支払いを怠ったとしてシンガポールを拠点とする暗号資産ヘッジファンド、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital:3AC)に債務不履行の通知を出した後、破産を申請した。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Voyager Digital co-founder sued by US regulators for fraud By Chris Prentice and Hannah Lang
Reporting by Chris Prentice and Hannah LangAdditional reporting by Nate Raymond; Editing by Kirsten Donovan and Josie Kao
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/345360