12/10~12/16週のサマリー
- Tether社、OFACの特別指定国民リストに載っている人物が管理する個人ウォレットを凍結
- 米上院議員エリザベス・ウォーレン氏が新たな暗号資産規制法案を提出、5人の共同提案者を追加
- Ledger ウォレット接続アプリがハッキング被害を受けるも、脆弱性バージョンを削除し、修正版を公開
- SECは新たな暗号資産ルール策定を求めるコインベースの請願を却下
暗号資産市場概況
12/10~12/16週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比-5.56%の6,024,000円、ETH/JPYの週足終値は同-6.99%の317,665円であった(※終値は12/16の当社現物EOD[12/17 6:59:59]レートMid値)。
週初の暗号資産市場は、大きなヘッドラインがない中で、3億ドル相当のロングポジション清算を伴う下落に直面。直近3か月で最大の清算規模となった。下落後は一時反発を見せるも、米上院議員エリザベス・ウォーレン氏による新たな暗号資産規制法案提出を契機に再び安値を試す展開に。ビットコインは中期トレンドラインの下限かつ節目として意識される40,000ドル付近をサポートとして堅持し、4,000ドル幅のレンジへと推移した。
12日に発表された米11月CPI(前年比)は3.1%と、市場予想通りでありながら、着実にインフレの鎮静化を示した(下図)。インフレ収束が現実味を帯びる中、14日のFOMCでは政策金利が据え置かれ、政策担当者19人中17人が「2024年末には政策金利が現在よりも低下」との予想を示すサプライズがあった。より早期の利下げが織り込まれたことで、リスクマネーが株式市場に流れ込み、S&P500は年初来高値を更新。暗号資産市場もその恩恵を受け、週初の下落の大半を取り戻した。
同日中にハードウェアウォレット「Ledger」のDapps(分散型アプリケーション)接続部分を標的としたハッキングが発生し、約50万ドルの資金が流出。ハードウェアウォレットという安全視されていたアプリケーションを起因とした流出であったことから、暗号資産市場は大幅な下落に見舞われた。発覚後40分以内に脆弱性への対策が行われ、Ledger側の発表を経て市場は急回復。15日にはSECが新たな暗号通貨ルール策定を求めたコインベースの請願を拒否したことで、再び暗号資産市場全体は失速を見せた。
次週以降はクリスマスシーズン・年末に近づくことで、市場参加者の間でポジションの手じまいが進む可能性がある。レンジ内での指値が平常時よりも減少し、流動性が薄くなることが想定されるため、ボラティリティの上昇には普段以上に注意されたい。
BTC/USD週間チャート(30分足)
BTC/JPY週間チャート(30分足)
米CPI前年比(2000年1月~現在)
米CPI前年比(2019年11月~現在)
FRB政策金利推移の市場予測
S&P500(週足 / 2018年3月~現在)
12/10~12/16週の主な予定
12/17~12/23週の主な出来事
今週のひとこと「ハッキング被害にあわないための心構え」
先日、Ledger社から、ハードウェアウォレットへの悪意のある第三者のハッキングにより、約50万ドルの被害が発生との公式アナウンスがありました。原因は元従業員アカウントへのフィッシング詐欺。現在はすでに修正版バージョンが適用され、攻撃者のアドレスも特定。事象解決に向けて対応中とのことです。
本来、Ledgerはハードウェアウォレットであり、常に通信環境に接しているホットウォレットに比べハッキングリスクは低いものの、今回のハッキングでは一時的にオンラインとなるdAppsへの接続部分でした。
暗号資産に携わる上で、常に注意しなくてはいけないのがハッキング被害です。マーケットでの損失であれば納得がいくものの、ハッキングで資産を失ってしまうことは非常に残念なことです。また一度奪われた資産は取り戻すことが難しいものです。私たちはこれらの被害がいつ・誰にでも起こりえるものだと認識しており、ディーラー間でも常に情報交換を行っております。
今回の事象であれば、まずは資産状況を確認するためであったとしても、慌ててDappsに接続しないこと。SNSでの情報収集や、公式アナウンスでの事実確認が大切です。
平時の心構えとしては、クラウド上(Evernoteなど)に秘密鍵を保存しないことに加え、クリップボード情報へのハッキングに気を配りましょう。OS・ブラウザ・ソフトウェアを定期的にアップデートすることや、不審なメールのリンクを安易にクリックしないことも被害の防止に役立ちます。
このレポートについて
国内の暗号資産(仮想通貨)取引所「SBI VCトレード」提供の週間マーケットレポートです。毎週月曜日に最新のレポートをお届けします。
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<暗号資産を利用する際の注意点>
暗号資産は、日本円、ドルなどの「法定通貨」とは異なり、国等によりその価値が保証されているものではありません。
暗号資産は、価格変動により損失が生じる可能性があります。
暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
当社が倒産した場合には、預託された金銭及び暗号資産を返還することができない可能性があります。
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秘密鍵を失った場合、保有する暗号資産を利用することができず、その価値を失う可能性があります。
暗号資産は支払いを受ける者の同意がある場合に限り、代価の支払いのために使用することができます。
Source: https://www.neweconomy.jp/features/sbivct/359526