バイナンスがユーロ決済圏での入出金を一時停止、決済業者との問題理由か

ユーロのSEPA送金は現在停止中

大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)が8月22日現在、単一ユーロ(EUR)決済圏(SEPA)を通じたユーロの出金及び入金を一時停止している。この状況は、9月25日からバイナンスの欧州提携銀行であるペイセーフ・ペイメント・ソリューションズ(Paysafe Payment Solutions)が、SEPAデポジットサービスを停止することに関連したものであると見られている。

なおバイナンスのカスタマーサポートはX(旧Twitter)の8月21日のポストにて、現在入出金が一時停止している理由を「EUR通貨の直接銀行振込はメンテナンス中」であると伝えている。

またバイナンスは現在、SEPAを通じたユーロの入出金のための提携銀行を変更すると述べているが、新しいパートナーについての詳細は明らかにしていない。

なお数日前には、バイナンスで多額のユーロを購入したと主張するユーザーがバイナンスカスタマーサポートから受け取った「ユーロ入出金の停止」に関する旨のメッセージをX上で共有している。

そのメッセージでは、ペイセーフ・ペイメント・ソリューションズが9月25日からSEPAデポジットサービスを停止することを挙げ、返金プロセスを迅速に行うために時間を要するため、ユーザーのペイセーフアカウントを「早期に閉鎖をした」と説明。アカウントに残っているユーザー資金をできるだけ早く返金するとバイナンスカスタマーサポートは伝えている。

しかしこのユーザーの投稿に対し、同カスタマーサポートは「SEPAによる入出金サービスは、当初お知らせしたとおり9月25日まで継続される」とリプライし、ユーザーが投稿したカスタマーサポートからのメッセージは、誤送信であったと報告した。

またバイナンスカスタマーサポートは、SEPAデポジットサービスを停止するまでには「代替手段をご用意いたしますので、ご期待ください」と述べている。

銀行・決済パートナー探しに奔走

バイナンスUSは今年4月、米国での新たな銀行パートナー探しに苦戦している様子が報じられた。これは3月に起きたシグネチャー銀行(Signature Bank)の閉鎖が影響しているとみられていた。

また5月22日からはグローバル版バイナンスでの英ポンド(GBP)の入出金を停止することも明らかになっていた。停止の理由は英ポンドの決済事業者スクリル(Skill)が、英ポンド(GBP)の入出金サービスの提供を停止するとバイナンスへ通知したためだという。バイナンスは、ユーザーに英ポンドの入出金サービスを提供するために、代替の決済事業者探しに懸命に取り組むと伝えていた。

また5月にはバイナンスの豪州部門バイナンスオーストラリアが、ユーザーの銀行送金による同取引所への豪ドル入金が即時不可能になると発表。この原因を同社は、第三者の決済プロバイダー「Cuscal(クスカル)」がアクセスを遮断したことによるものと説明していた。

またバイナンスは昨年6月、ブラジルレアルの入出金も一時停止したことがあった。この時はブラジル中央銀行によるポリシー変更の為、ブラジルレアルの入出金を運営していたブラジルの決済事業者「キャピチュアル(Capitual)」とのパートナーシップが終了したことで、入出金が一時停止された。なお現在は新たなブラジルの決済事業者に切り替えており、ブラジルレアルの入出金は再開されている。

関連ニュース

  • バイナンスの欧州提携銀行ペイセーフ、9月にサポート終了へ
  • バイナンスで英ポンド一時入出金停止へ、新たな決済業者探しへ
  • バイナンス、2月8日から銀行を介した米ドルの入出金を一時停止に
  • バイナンス、ブラジルレアルの入出金を一時停止
  • バイナンスUS、新たな銀行パートナー探しに苦戦か=報道

デザイン:一本寿和
images:iStocks/agcuesta

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/332929