サンリオとガウディがアービトラムとGPT-4活用でSNSサービス提供へ
Gaudiy(ガウディ)がサンリオと協業し、Web3と生成AI技術を活用したSNSサービスのリリース予定を10月19日発表した。
このサービスは、2024年春に日本だけでなく欧米やアジアなどを含めた世界同時リリースするという。サンリオの持つキャラクタービジネスの知見と、ガウディの持つNFTやSBTなどのブロックチェーン技術、さらにはAIエージェントを含む生成AI技術を組み合わせた次世代型のSNSサービスになるとのことだ。
現在同サービスは、クローズドテスト中で、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ソリューション「アービトラムワン(Arbitrum On)」とOpenAI(オープンAI)開発の自然言語処理AIモデル「GPT-4」を活用したサービス検証をおこなっているという。
また同サービスのプラットフォームには、アカウント抽象化(Account Abstraction:AA)の概念を活用したweb3ウォレットを実装し、web3に馴染みのないユーザーでも簡単に利用できるサービス体験を提供するとのこと。
なおアカウント抽象化は、ユーザーのアカウントをスマートコントラクトアカウントで代替することを目的としたEthereumの改善提案「ERC-4337」である。これにより、アプリケーション開発者によるトランザクションコストの負担、秘密鍵以外のアカウント復元方法の導入、2段階認証を通じた取引の実施などのユースケースが可能となる。
なお同サービスは、イノベーション創出を目的に、千葉工業大学変革センターをはじめとする国内外の大学・研究機関などと産学連携し、生成AIの共同研究を進めていくとのことだ。
先日10月12日ガウディは、同社提供のweb3ファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink(ガウディ ファンリンク)」を「アービトラムワン」対応することを発表していた。
「Gaudiy Fanlink」は、IP独自のコミュニティシステムの提供を通じて、ファンの横断的な活動データを記録・蓄積し、ファンの貢献や熱量が正しく評価・還元されるエコシステムを構築しているという。なおサンリオをはじめ、ソニー・ミュージックエンタテインメントや集英社、バンダイナムコエンターテインメント、アニプレックスらに導入されているプラットフォームでもある。
ちなみに「Gaudiy Fanlink」では、これまでエンタープライズ向けブロックチェーン「Quorum(クオーラム)」のプライベートチェーンが利用されていたが、今回パブリックブロックチェーンを採用することになった。これを起点にガウディは、グローバルスタンダードなWeb3サービスの提供に向け、本格展開を開始するとしていた。
アービトラム(Arbitrum)とは?
「アービトラム」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション。同ネットワークでは、「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」を採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現している。
「ロールアップ」とは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のこと。「オプティミスティックロールアップ」では、正当性の検証方法をレイヤー1(イーサリアム)に提出されるデータはすべて正当なものであるという楽観的(オプティミスティック)な前提に基づいて検証を行う手法にて、スケーラビリティを確保している。
なおアービトラムでは、「アービトラムワン(Arbitrum One)」および「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」の2つのネットワークを展開している。
「アービトラムワン」はアービトラムのパブリックなメインネットであり、誰でもバリデーターとなることができる仕組みとなっている。一方で「アービトラムノヴァ」は選定されたバリデーターのみが参加する許可型のメインネットとなっており、厳密な分散性を達成することはできないが、その分低い手数料での利用を可能にしている。 そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。
なお「アービトラム」の独自トークンである「ARB」は、今年3月23日に発行が開始されている。「ARB」はDAOコミュニティのガバナンストークンとして機能するが、「アービトラム」のネイティブのガス代(取引手数料)は同ネットワーク上のイーサリアム(ETH)が採用されている。
「アービトラム」は1.677Bドル(約2,500億円)のTVL(総預かり資産)を誇り、イーサリアムレイヤー2としては最大のネットワークとなっている(10/12 Defillama参照)。
また先月9月には、Fracton Ventures(フラクトンベンチャーズ)がArbitrum Foundation(アービトラム財団)と戦略的事業提携し、フラクトンベンチャーズは日本において「Arbitrum Japan(アービトラムジャパン)」を展開開始している。
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デザイン:一本寿和
images:iStocks/Olena-Lishchyshyna
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/346733