「Deneb」アップグレードの内容が決定
イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレード「デンクン(Dencun)」のうち、コンセンサス層アップグレードとなる「デネブ(Deneb)」の内容が日本時間6月16日に実施された開発者会議「Consensus Layer Meeting 111」で決定した。
なおイーサリアムは、実行層(EL:Execution Layer)とコンセンサス層(CL:Consensus Layer)の2つのクライアントを搭載したノードで運用されている。
「デンクン」アップグレードは、実行層の「カンクン(Cancun)」アップグレードとコンセンサス層の「デネブ」アップグレード、この2つのアップグレードを合わせた名称である。「カンクン」アップグレードの内容については、6月8日に開かれた会議で決定している。
そして今回の会議で決定されたのは「デネブ」アップグレードの内容だ。つまり「デネブ」の内容が決定したことにより「デンクン」としての全体のアップグレード内容が決定したことになる。
今回決定した「デネブ」のアップグレードの主な内容は、EIP-4788、EIP-4844、EIP-6988、EIP-7044、EIP-7045をコンセンサス層に導入するというものである。
なおEIP(Ethereum Improvement Proposals)は、イーサリアムをより良いものにするために議論される改善提案のことだ。
EIP-4788は、チェーンの状態に関する情報を含むビーコンチェーン(Beacon Chain)ブロックのルートをイーサリアム仮想マシン(EVM)内に公開するもので、ステーキングのユーザー体験を向上させる提案となる。
EIP-4844については、レイヤー2ブロックチェーン(L2)がL1であるイーサリアムに書き込むのに使える専用のトランザクション(blob transactions)を導入し、それによりL2のトランザクション手数料を削減するための提案だ。「プロトダンクシャーディング(Protodank Sharding)」と呼ばれている。
続いてEIP-6988は、ネットワークから排除されているバリデーターがプロトコルによってブロック提案者として選択されるのを防ぐ提案だ。このEIPの導入は複雑なコードの変更を含むため、これに関する議論は今回保留された。
またEIP-7044は、署名されたバリデーターの自主終了を永続的に有効であることを保証するためのもので、すでに「デネブ」アップデートに統合されている。
そしてEIP-7045については、認証スロットを拡張する提案で、チェーンのセキュリティを強化することを目標としている。
なお実行層の「カンクン」アップグレードでは、EIP-4844「プロトダンクシャーディング」導入がメインとなっている。他には、一時的なストレージオペコードの追加をするEIP-1153、任意の値を表す新規のSSZタイプの追加をするEIP-6475、オペコードSELFDESTRUCTの変更をするEIP-6780が導入される予定である。
ちなみにSSZタイプとは、現在利用されているものより適切とされる新しいシリアル化手段のことであり。またオペコードSELFDESTRUCTは、スマートコントラクトを自己停止させるスマートコントラクト用の命令のことである。
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参考:ギャラクシー
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/320331