早期申告で税率優遇
南米アルゼンチンの新大統領ハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏による法案では、国内外の暗号資産の保有を申告することで、有利な税率が適用されるようだ。12月27日に議会へ送られた法案にて明らかとなった。
法案によれば、「暗号資産及びその他類似の資産」は、自己保有している分に限って、同資産規則である「資産正規化制度」の対象となるようだ。またそれら暗号資産は、「その発行者・所有者・預託・保有・保管の場所に関係なく」適用されるとのことだ。
ただし、金融活動作業部会(FATF)からハイリスクだと認定された法域・国に拠点を置く金融機関やカストディアンに預託される資産派は対象外になる可能性があるとのことだ。
「資産正規化制度」では、暗号資産の保有を早期申告することで税率が軽減されるという。具体的に言えば、3月31日までの申告で税率は5%となり、11月30日までに申告する場合だと15%まで引き上げられる。
国内では反発も
ミレイ氏が提出した法案は、政府の市場介入に慣れているアルゼンチンにおいて350以上の経済規制を変更または廃止するものであるため、国内では強い反発もあるようだ。
同法案では家賃の上限撤廃や労働者保護の一部撤廃、不当な値上げから消費者を保護する法律も廃止されるため、インフレ率160%超で貧困率が40%を越えるアルゼンチンの多くの市民団体が同法案を違憲だと裁判所に申し立てている。
また12月28日には、労働組合が主導する数千人ものデモ隊が抗議デモを行った様子が現地紙によって報じられている。
ビットコインに友好的な姿勢で知られるミレイ氏は11月19日、アルゼンチンの大統領選挙の決選投票で勝利し、12月10日に同国大統領に就任した。
ミレイ氏は経済施策として法定通貨のドル化や中央銀行の廃止を訴えており、その他にも臓器売買の合法化、銃器販売の規制緩和など様々な施策案を打ち出している。
12月にはミレイ政権の外交・国際通商大臣ダイアナ・モディーノ(Diana Mondino)氏が、アルゼンチンにおいてBTCが公式な契約における通貨として使用できることが同政権下で承認されたことを発表していた。
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参考:法案・ 報道
images:Reuters
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/362039