サトシ・ナカモトのビットコイン初めのリリース告知を読む
ビットコインを発明し、未だその正体が分かっていないサトシ・ナカモト。そんなサトシが残した約2年間の文章を、小宮自由氏の解説と共に紹介する連載「サトシ・ナカモトが残した言葉〜ビットコインの歴史をたどる旅」の第16回。
まずサトシのメールの前に、本連載の元になっている書籍『ビットコイン バイブル:サトシナカモトとは何者か?』の著者フィル・シャンパーニュ氏の解説も掲載する。
フィル・シャンパーニュ氏の解説
この投稿でサトシは sourceforge.net 上でのビットコインの最初のリリースを告知した。sourceforge.net は github などのオンラインサービスと同様、ドキュメントやソースコードを共有できるサイトである。このリリース分は現在、sourceforge.net には存在しないが、次の場所にコピーされている。
http://www.zorinaq.com/pub/bitcoin-0.1.0.rar
http://www.zorinaq.com/pub/bitcoin-0.1.0.tgz
http://we.lovebitco.in/bitcoin-0.1.0.rar
http://www.bitcointrading.com/files/bitcoin-0.1.0.rar
このソフトウェアはオープンソースで、コードは公開され、利用・複製・編集が自由な著作権フリーである。
ビットコイン・バージョン0.1のリリース/サトシ・ナカモト 2009年01月19日17時05分49秒
それでは2009年1月19日金曜日 17時05分49秒のサトシの投稿をみていこう。
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二重支払の防止にピアツーピア・ネットワークを用いた新しい電子キャッシュシステム、ビットコインの最初のリリースを告知します。サーバーも中央権力もなく、完全に非集中型のシステムです。
スクリーンショットはbitcoin.orgでご覧下さい。
ダウンロードリンク:
http://downloads.sourceforge.net/bitcoin/bitcoin-0.1.0.rar
今のところはウィンドウズのみです。オープンソースのC++コードが含まれています。
・ファイルをディレクトリーに解凍します
・BITCOIN.EXEを実行します
・自動的に他のノードに接続します
稼働中のノードで着信接続を受け入れてくれたら、ネットワークにはとても助けになります。接続の受け入れにはファイアウォールのポート8333を開く必要があります。
このソフトウェアはアルファ版で、実験的なバージョンです。必要に応じてシステムの状態を再起動する必要が生じる可能性がありますが、拡張性とバージョニングを組み込むためにできる限りのことをしています。
コインを獲得するには、誰かに送ってもらうか、「オプション(Options)」から「コイン生成(Generate Coins)」を実行してノードを稼働すると、ブロックを生成できます。プルーフ・オブ・ワークの難易度は最初は滑稽なぐらい平易なレベルに設定しましたので、最初のしばらくの間は普通のパソコンでも数時間でコインを生成できます。今後競争が激しくなり、自動調節が働いて難易度が上がると今より難しくなります。生成されたコインは、成熟して送金可能になるまで120ブロック分、待たなければなりません。
送金方法は二つあります。受取人がオンラインのときは、受取人のIPアドレスを入力すると接続し、新しい公開鍵を入手し、コメントを付して送金できます。受取人がオンラインでなければ、公開鍵のハッシュ値であるビットコインアドレスを受取人から教えてもらうと送金できます。受取人は次回の接続時に取引を受信し、それを含むブロックを獲得します。このやり方にはコメント情報を送れないという欠点があり、また、アドレスを複数回使うとプライバシーを損なう可能性がありますが、お互いが同時にオンラインでないときや、受取人の側で接続の受け入れができないときに便利な代替的な方法です。
全流通量は2100万コインになる予定です。コインはネットワークノードがブロックを作成すると与えられ、その量は四年ごとに半減していきます。
最初の四年:10,500,000コイン
次の四年:5,250,000コイン
次の四年:2,625,000コイン
次の四年:1,312,500コイン
となるわけです。
この分が尽きたら、システムでは必要に応じて取引手数料をサポートできます。ビットコインは開かれた市場競争を基礎としており、取引の実行を無料で行うノードが常に存在することになると思います。
サトシ・ナカモト
解説
記念すべきビットコインバージョン1のリリース告知です。ビットコインの基本的な設計はこのときに定まりました。現在はソースコードは Github により管理されています。
Source: https://www.neweconomy.jp/features/sato/311255