旭化成とTISがブロックチェーン活用で食品偽造防止へ
旭化成とTISが共同で構築したブロックチェーン活用の偽造防止デジタルプラットフォーム「Akliteia®(アクリティア)」が、食品偽装問題へのソリューションとして活用開始されることが4月20日発表された。
なお「Akliteia」には、米R3社開発のエンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」が採用されている。
今回の取り組みでの対象食品は、高級ウニの水産加工業者である羽立水産が提供する「はだての生うに」とのこと。4月より取り組みを開始するという。発表によると羽立水産は過去5年ほど、羽立水産製と偽装されたウニの流通が増加していることに懸念を抱いていたとのことだ。
この取り組みでは、旭化成の独自技術によって作られた「透明で偽造困難なラベル」を商品のパッケージに貼付するとのこと。またラベル上には、消費者への情報提供のため、真正品であるという表示とQRコードを付記するという。これにより、消費者も本物であることが一目でわかり、より安心して商品を購入できるようになるとリリースで説明されている。
「Akliteia」は、サプライチェーン上の個品情報を可視化するプラットフォーム。「ブロックチェーン」、「偽造防止ラベル」、「真贋判定デバイス」の3要素で構成されており、「真正性の担保」と「原本性の担保」の両方を実現するという。
昨年10月に「Akliteia」がサービス開始された時点では、皮革製品・鞄などのアパレル製品を対象に同プラットフォームは提供されていた。
「Akliteia」では、旭化成の「偽造防止ラベル」を対象の製品に実装する。製造工場、物流倉庫、小売店舗/EC倉庫など、サプライチェーンの各拠点で旭化成が提供する「真贋判定デバイス」により「偽造防止ラベル」をスキャンすることで、各拠点でその製品が真正品であるかどうかを確認でき(真正性の担保)、偽造品を排除するとともに、真正品の数量を把握することが可能になるという。
さらに「真贋判定デバイス」のスキャン結果が「コルダ」を用いて構築したクラウドサービス「Akliteiaネット」に記録されるとのこと。「Akliteiaネット」は偽造品の発生状況をサプライチェーン全体で確実に共有する(原本性の担保)ことを可能にし、サプライチェーンのどの段階で偽造品が多く混入されたかなど、被害実態の定量的な把握・可視化が行えるようになるとのこと。
またサプライチェーンの変化に応じて情報の共有範囲を柔軟に変更できるためビジネスプライバシーも確保できるとしている。
なお旭化成とTISは「Akliteia」の他にもブロックチェーンに関わる取り組みを行っている。
最近では、旭化成が発足した資源循環社会の実現に向けたデジタルプラットフォーム構築プロジェクト「BLUE Plastics(ブルー・プラスチックス:Blockchain Loop to Unlock the value of the circular Economy)」において、PETリサイクルの過程をスマートフォンのアプリでトレース(追跡)できるサービスの実証実験をファミリーマートで行っている。なおプラットフォームには「BLUE Plastics」メンバーでもある日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のブロックチェーン技術が用いられている。
またTISでは昨年11月に、ブロックチェーン活用の自己主権型ID実証実験を和歌山県白浜町の「ホテルシーモア」及び「とれとれ市場」で実施している。他にもTISは、ブロックチェーン技術を活用した「環境価値移転管理システム」を開発している。
なおこのシステムでは、自宅で発電した再生可能エネルギー(再エネ)由来の電気をEV(電気自動車)に充電し、走る蓄電池として蓄えた電気を別の建物に放電することにより、電気と共に環境価値を他者に移転するという。
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参考:旭化成
デザイン:一本寿和
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Source: https://www.neweconomy.jp/posts/309881