日本円ステーブルコイン「JPYC」の信託型発行が検討開始、金銭払い戻し可能に。三菱UFJ信託とプログマ協業で

「JPYC(信託型)」の発行検討開始

前払式支払手段による日本円ステーブルコイン(SC)「JPYC」の信託型による発行に向け、検討が開始された。三菱UFJ 信託銀行、Progmat(プログマ)社、JPYC社が11月28日に発表した。

発表によると「JPYC(信託型)」は、SC発行・管理基盤「Progmat CoinCoin(プログマコイン)」を活用し、改正資金決済法上の電子決済手段に該当する日本円SCとして発行検討されるという。

また現状の「JPYC」は前払式支払手段であるため、原則として金銭による払い戻しが禁止されているが、電子決済手段に該当する「JPYC(信託型)」については、金銭による払い戻しが可能になるという。

なおJPYC社は現在、今年6月の改正資金決済法を受け、電子決済手段に該当する日本円SC 「JPYC 」の発行および流通の促進を目標に掲げ、特にUSDC をはじめとする海外SC との相互交換の実現のため、資金移動業および電子決済手段等取引業のライセンス登録に向けた取り組みを進めているという。

これによりJPYC社は前払式支払手段の「JPYC」の他、資金移動型SC「JPYC(資金移動型)」の発行も検討している。ただし資金移動型SCは、送金金額が100万円/回と制限されているが、今回検討開始されたのは送金金額制約のない信託型SCの組成が前提となっているとのこと。

なお「JPYC(信託型)」は、接続ブロックチェーンとしてEthereum(イーサリアム)の他、複数チェーンへの拡張を想定しているという。「JPYC(前払式)」については現在イーサリアム、ポリゴン(Polygon)、シデンネットワーク(Shiden Network)、ノーシス(Gnosis)、Avalanche(アバランチ)、アスターネットワーク(Astar Network)のブロックチェーンに対応している。

改正資金決済法上、「USDC」等の海外籍発行者の発行する「海外SC」を仲介者として取り扱う電子決済手段等取引業者は、海外籍発行体の破綻リスクから顧客を保護するために、顧客から預託されたSCと同額の法定通貨を自己資金から拠出し保全しておく義務が課されているというが、プログマ社によると「JPYC(信託型)」では、顧客が自ら「セルフカストディウォレット」を用いて自己管理する場合等、SCの預託が発生しない仲介モデルも想定可能だと補足されている。

JPYC社が電子決済手段等取引業における仲介者の役割も

今回の発表では、「JPYC(信託型)」の発行検討開始の他、「Progmat Coin」基盤を介して発行される様々な「国産SC」を取り扱う仲介業者となる計画も伝えられている。

JPYC社が改正資金決済法上の電子決済手段等取引業のライセンスを取得し仲介者となることで、「国産SC」同士や「海外SC」との相互交換を可能にし、国内のSC利用者が国内外の様々なSCを円滑に利用できる環境を整備するとのこと。つまり、JPYC社は「SC⇔法定通貨」や「SC⇔他SC」間の交換チャネルとして機能するとのことだ。

なお日本国内でステーブルコイン(電子決済手段)を業として取り扱うためには、改正資金決済法で新設された「電子決済手段等取引業」のライセンスを仲介者が取得することが前提となる。そのためJPYC社が新たにライセンスを取得するまでに要する期間を踏まえ、「JPYC(信託型)」の発行は2024年夏頃を目指すとのことだ。

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参考:プログマ・解説note
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Source: https://www.neweconomy.jp/posts/355217