プログマらVCファンドのデジタル証券化の検討へ
Progmat(プログマ)社が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」が、「スタートアップ投資促進ワーキング・グループ(WG)」の設置と同WGでの共同検討を開始する。プログマ社が12月13日発表した。
この共同検討では、スタートアップの成長に必要な資金の出し手となる「ベンチャーキャピタル(VC)」と、個人の資産形成の選択肢を広げる「デジタル証券(ST)化」の手法を組み合わせ、個人からスタートアップへの投資を促進する枠組みをデザインし、具体的な商品組成や必要な規制改正要望の抽出に繋げることを目指すとのこと。スタートアップへの資金提供量の拡大と、個人の資産形成手段の多様化を両立する方法として検討されるとのことだ。
同WGには、VCや銀行・信託銀行、証券会社、法律・会計事務所など31社が開始時より参加している(参加企業下記参照)。
主要論点および概要は次の通り。
- 「LPSの非適格機関投資家特例業務該当性」:LPS(投資事業有限責任組合)側で適格機関投資家特例業務に係る非適格機関投資家49人上限のルールに抵触しないか。
- 「情報開示水準」:VCから既存LP(リミテッドパートナーシップ)投資家に提供する範囲を超えての情報提供はできないなかで、ST側の開示水準として必要十分か。
- 「対象投資家の範囲」:上記2点の前提を踏まえ、取引開始基準の設定等、投資家をある程度限定し、基準を段階的に緩和していく必要があるか。
- 「取引指標価格の設定方法」:ST流通市場での取引を可能とする場合に、取引の指標価格はLPS時価(NAV)を基に算定することで問題ないか。
- 「STファンドのキャッシュフローと運用期間」:VCの資金ニーズ(マージンコールタイミング)とST側のキャッシュフローがマッチするか、また十分に長期でのSTファンド設定にするために必要な条件(流動性等)は何か。
日本政府では、2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において「スタートアップへの投資」を重点投資分野の柱の1つとし、同年11月に発表された「スタートアップ育成 5 か年計画」において「スタートアップへの投資」を5年後の2027年度に10倍を超える規模(10兆円規模)とする目標を掲げている。そしてその目標達成に向けた柱の1つとして、「資金供給の強化と出口戦略の多様化」とされ、ベンチャーキャピタルや個人からの投資を拡大する必要性が認識されている。
今回の検討では、個人からスタートアップへの投資を促進する枠組みをデザインし、具体的な商品組成や必要な規制改正要望の抽出に繋げることが目指されているとのことだ。
同WGは、2024年 1月のキックオフ後、2024年春に「中間整理」をまとめて公表することを目標にするとのこと。
また当該「中間整理」は、必要な規制改正要望が抽出された場合に、2024 年度の各種政府/当局方針に反映可能なスケジュールでの整理を前提としているとのこと。また「中間整理」を踏まえた個別の商品組成プロジェクトを、2024 年度から実施することを目標としているとのことだ。
「スタートアップ投資促進ワーキング・グループ(WG)」参加組織一覧
・ベンチャーキャピタル(5)
インキュベイトファンド株式会社、WiL, LLC、SBIインベストメント株式会社、グローバル・ブレイン株式会社、ジャフコグループ株式会社
・ 銀行・信託銀行(8)
あおぞら銀行株式会社、新生信託銀行株式会社、株式会社日本政策投資銀行、農中信託銀行株式会社(及び関連会社)、みずほ信託銀行株式会社、三井住友信託銀行株式会社、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ信託銀行株式会社
・証券会社(7)
あおぞら証券株式会社、株式会社SBI証券、岡三証券株式会社、株式会社大和証券グループ本社、東海東京証券株式会社、みずほ証券株式会社、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社
・デジタル証券流通市場等(2)
大阪デジタルエクスチェンジ株式会社、株式会社JPX総研
・法律事務所(6)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業、渥美坂井法律事務所外国法共同事業、シティユーワ法律事務所、創・佐藤法律事務所、TMI総合法律事務所、森・濱田松本法律事務所
・会計事務所 /監査法人等(3)
東京共同会計事務所、PwC税理士法人、PwC Japan有限責任監査法人
・オブザーバー
関係する当局、自主規制団体等
関連ニュース
- プログマが社債プレマーケティングシステム「ビアンカ」連携でデジタル債の効率化検証、大和証券・SBIR3と
- 日本円ステーブルコイン「JPYC」の信託型発行が検討開始、金銭払い戻し可能に。三菱UFJ信託とプログマ協業で
- 岡三証券が「プログマ」で公募デジタル社債を発行へ、個人向けで過去最大の20億円
- JPYCと海外送金「KYODAI Remittance」が提携検討、日本円ステーブルコイン発行で
- JVCEAとJCBA、共同で「暗号資産に係る2024年度税制改正要望書」を日本政府へ提出
参考:プログマ
images:iStocks/metamorworks
Source: https://www.neweconomy.jp/posts/358643