バイナンスが米刑事事件で約6,370億円支払い和解へ、CZは辞任、米国から完全撤退も

CZが辞任

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の最高経営責任者で創業者のチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏が辞任した。同氏が11月22日のXにて報告した。

またこのニュースは各社によって一斉に報道された。この辞任は米司法省(DOJ)との司法取引の一環とみられ、ウォールストリートジャーナルによれば、CZ氏は「監視人が任命された日から」3年間、バイナンスの運営・管理を禁じられるという。

CZ氏は、銀行秘密法に違反し金融機関に違反させた罪を認める方針だ。また同氏は弁護士を通じてや、自身で責任逃れする公的声明を行わないことにも同意。5000万ドル(約74.7億円)の罰金を支払うことにも同意している。

CZ氏は退任を伝える自身のXでのポストにて、「確かに、感情を手放すのは簡単ではなかった。でも、(退任は)正しいことだと分かっている。私は間違いを犯した。責任は取らなければならい。これは私たちのコミュニティにとっても、バイナンスにとっても、そして私自身にとっても最善だ」と伝えている。

またバイナンスの新たなCEOとして、元アブダビ規制当局で後にバイナンスの地域市場責任者となったリチャード・テン( Richard Teng)氏が就任することを報告。

CZ氏は今後少し休んでから、ブロックチェーン、Web3、DeFi、AI、バイオテクノロジーなどの分野のスタートアップの少数トークン株主として、パッシブ投資を行おうと考えているという。

またCZ氏は、これから起業する人々のコーチやメンターになる可能性はあるが、自身がスタートアップ企業などのCEOになることは考えていないと伝えている。

バイナンスは米国から撤退

またバイナンスは米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)との和解の一環として、米国から完全撤退する。また、銀行秘密法と制裁プログラムに違反したとしてバイナンスを告発したFinCENと外国資産管理局(OFAC)との告訴解決へ向け、5年間の監視人(取引所の制裁順守プログラムを監督するモニター)がつくことになるという。

バイナンスは無許可で資金移動業を行い、登録要件を遵守しなかったこと、制裁法違反において有罪を認め、今後、司法取引の一環として、司法取引に合意した行為に関連するあらゆる事柄について政府に協力する予定だ。

そしてバイナンスもCZ氏同様、責任逃れしないことに同意しているという。

またバイナンスへは、DOJにより米国法に沿ったコンプライアンスプログラムが制定されることになり、同社新CEOのリチャード・テン氏とチーフ・コンプライアンス・オフィサーはコンプライアンス要件を満たすこと、情報開示を行うことについて署名することになるという。

バイナンスは刑事罰として18億ドル(約2,666.6億円)の支払いに合意。なおこの金額は、一部捜査に協力したことで20%の割引を受けての金額だ。

なおバイナンスは、米国ユーザーを含む取引から得た16億ドル(約2,370.3億円)と、米国ユーザーとイランのユーザーとの取引にかかる8億9800万ドル(約1,330.3億円)の併せて約25億ドル(約3,703.7億円)を没収される。

バイナンスが支払う罰金は合計で約43億ドル(約6,370.3億円)となり、この金額は米国市場最大の企業罰金とみられている。

なおこれら罰金はそれぞれFinCENに34億ドル(約5,037.3億円)、OFACに9億6,800万ドル(約1,434.7億円)支払われる予定だ。

バイナンスとDOJが和解へ向け調整していることは、11月21日にブルームバーグが報じていた。

DOJは制裁措置違反について、バイナンスが米国の対イラン及びロシア制裁に違反する取引を促進した疑いや、ハマスの資金調達を助ける取引を許可していたかについて調査していた。

DOJは2022年後半より、バイナンスの実態調査を開始していた。

2020年後半にロイターが確認した要請書によれば、米国連邦検察がバイナンスのアンチマネーロンダリングのチェックに関する広範な内部記録や、CZ氏が関与するコミュニケーションの記録を提供するよう要請していた。

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参考:裁判書類1・裁判書類2
images:Reuters

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/354229