米コインベースのルール策定求める請願書に米SECが応じる構え、120日の猶予求める

SEC「120日以内に勧告できる予定」

米証券取引委員会(SEC)が米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)からの請願書に応答するため、120日の猶予を求めている。6月13日にSECの弁護団が米第三巡回区控訴裁判所へ提出した文書によって明らかとなった。昨年7月21日、コインベースはSECに対し「デジタル資産証券規制に関する規則制定を求める請願書」を提出している。なおこの請願書は、規制対象となるデジタル資産に関するガイドラインを明確に定義するようSECへ要求したものである。

今回SECの弁護団が文章を提出したのは、裁判所が6月6日に出した命令に対してSECが応じたものである。裁判所はSECに対し「コインベースの規則策定申請を拒否するかどうか」や「拒否しない場合、対応にどのくらいの追加時間が必要か」などを記した文書を命令から7日以内に提出するよう命じていた。

今回の提出文書によれば、SECはコインベースが求めている「デジタル資産証券規制に関する規則制定を求める請願書」に対してどのような対応をするかは決定していないという。

しかし、請願書が数カ月前に提出されたことや、その広範さ、また最近コインベースによって更なる追加事項がなされたことを鑑みれば、今回の対応は妥当だとSEC側は主張している。

なおコインベースは5月22日、「職務執行令状(マンデイマス/mandamus)」を求める請願書について、それを後押しするための答弁書」を裁判所に提出していた。

「職務執行令状」は米国において、裁判所から命令という形で政府・下級裁判所・企業・公的機関に対して行われる司法救済手段だ。対象者に対し、法律に基づき行う義務のある特定の行為を行わせるために発行されるもので、公的義務の性質を持ち、特定のケースにおいては法定義務となる。

これについて今回SECの弁護団は、「広範な規則制定請願に対して7日以内に行動するよう欧州委員会に強制する職務執行令状を求めるコインベースの異常な要求には何のメリットもない」と指摘。職務執行令状については「却下されるべき」と主張した。しかし、ルール策定を求めるコインベースの請願については「今後120日以内に勧告できる」と予想し、その期間が終了する2023年10月11日までには裁判所へ状況報告できると述べている。

グレワル氏が反応

これを受け、コインベースの最高法務責任者のポール・グレワル(Paul Grewal)氏が6月14日ツイッターにて反応した。

グレワル氏は、今回のSECの行動を「(SECは)新しい暗号資産のルール策定について、何も決定していないという誤りを繰り返している。また裁判所命令にもかかわらず、期限を約束することを拒否している」と指摘した。

続けて同氏は「(SECは期限を約束しない)代わりに120日以内に勧告を行うことを『予期』した」などと批判した。

今までの経緯

コインベースは昨年7月21日、SECに対し「デジタル資産証券規制に関する規則制定を求める請願書」を提出している。

この請願書でコインベースは、デジタル資産証券に関する規則を提示して採択するようにとSECに要求。またコインベースは「デジタル資産証券規制上の取り扱いについて明確性と確実性」を提供するための50項目の具体的質問に対する回答もSECへ求めている。

しかしSECは、この請願書に対して対応してこなかった。

この事態を受けコインベースは4月24日、SECに対して請願書への回答を行わせるために行政手続法を発動するよう、連邦裁判所に要請。

それに対し連保破産裁判所は5月4日、SECに対しコインベースの請願書に10日以内に応答するよう、書記による裁判命令を下した。

しかしSECは5月15日に弁護士を介し、「証券法も行政手続法も、コインベースの要求する『デジタル資産』に関する広範な新規制を発行する義務をSECに課していない」と回答。「請願は却下されるべき」と主張していた。

これを受けてコインベースは5月22日、「職務執行令状(マンデイマス/mandamus)を求める請願書を後押しするための答弁書」を裁判所に提出していた。

なお「職務執行令状」は米国において、裁判所から命令という形で政府・下級裁判所・企業・公的機関に対して行われる司法救済手段だ。対象者に対し、法律に基づき行う義務のある特定の行為を行わせるために発行されるもので、公的義務の性質を持ち、特定のケースにおいては法定義務となる。

 

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参考:提出文書、裁判所命令
デザイン:一本寿和

images:Reuters

Source: https://www.neweconomy.jp/posts/319469