ブラックロックのイーサリアム現物ETF申請で、ETH主導で主要コインやアルトコイン上昇(暗号資産 週間マーケットレポート 11/13号)

11/5~11/11週のサマリー

  • 大手資産運用会社BlackRockがイーサリアム現物ETF(iShares Ethereum Trust)の登録書類を提出したことにより、ETH主導で暗号資産市場急騰
  • 暗号資産取引所Poloniexのウォレットがハッキングされ、1億ドル以上の被害
  • ムーディーズが米国債格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ」に引き下げ

暗号資産市場概況

11/5~11/11週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+7.75%の5,611,700円、ETH/JPYの週足終値は同+12.57%の310,395円であった(※終値は11/11の当社現物EOD[11/12 6:59:59]レートMid値)。先週の暗号資産市場は主要コイン・アルトコインともに上昇継続となり、翌週以降に期待を抱かせる内容で終了した。

週初は前週金曜の米雇用統計の結果から追加利上げに対する警戒感が後退したものの暗号資産市場は様子見でスタート、週央にかけて他コインが膠着する中、XRPがマーケットをけん引、毎年恒例の年次カンファレンス「Swell」を巡って円ベースで節目となる100円を超えた。本イベントは例年アノマリーとして意識され、一部では下落への警戒感も台頭していたが今回は大きな波乱もなく無事通過した模様だ。

9日深夜には、資産運用会社大手のBlackRockがイーサリアム現物ETF「iShares Ethereum Trust」に関する登録書類を米デラウェア州に提出したと伝わり、ETH主導で暗号資産市場は急騰、BTCも一時38,000ドルに肉薄した。

しかし、ポジション清算や米長期金利上昇などの要因によって急速に値を戻すと、その後のIMF主催の討論会におけるパウエルFRB議長のタカ派発言にも上値を抑えられる形となったが、週末には利上げサイクルの終了が再び材料視され、リスクオンの流れから、NYダウ、ナスダックともに反発し、暗号資産市場も高値水準を維持して終了となった。10日に伝えられた暗号資産取引所Poloniexのウォレットから1億ドル以上のハッキングとの報もマーケットには大きな影響がなかったようだ。

そのほか、アルトコインについても触れておきたい。先週号「今週のひとこと」で触れたSOLは週間で約40%の上昇を演じた。先日のカンファレンス「Breakpoint 2023」での複数のプロジェクト発表や、DeFi市場におけるTVLが急上昇していることも追い風となったようだ。またLINKも週間で約40%上昇、AVAXも約30%上昇となっている。最近のマーケットの動きはよく言われる単純な循環物色とも言い切れず、個々にしっかりとした土台、シナリオがあっての上昇となっている点を付け加えたい。

今週の注目点として、まずは先週土曜に突如発表されたムーディーズによる米国債格付け「ネガティブ」によるマーケットの反応に注目。すでに織り込んでいるとの見方もあるが、マーケットがいい流れで終了していることから、このリスクオンの流れに水を差す格好となるのかがポイントだ。

そのほか、14日に米10月消費者物価指数、15日には米小売売上高、米10月卸売物価指数と主要指標の発表、同じく15日には米中首脳会談が予定されている。さらに17日には9月末に可決された米政府閉鎖を回避したつなぎ予算の期限を迎える。来年1月までの再延長案が浮上しているもののいまだ不透明な状況だ。いずれにしても全般的にリスクオンの流れから、実需の伴った好循環が続いているのでこの流れを継続できるかがポイントとなろう。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

XRP/JPY 11/1~11/11チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

11/5~11/11週の主な予定

11/12~11/18週の主な出来事

今週のひとこと「AVAX」

AVAXはブロックチェーンプラットフォーム「Avalanche」のネイティブトークンです。2020年にEmin Gün Sirer氏らによって開発されたブロックチェーンであり、現在イーサリアムキラーの一つとして位置づけられています。

独自のコンセンサスメカニズムとともに特徴とされているのが3つのブロックチェーン(X-Chain, C-Chain、P-Chain)の採用です。これら3つのブロックチェーンにそれぞれ役割を持たせ、相互運用を可能にすることによって、すべてのプロセスを 1 つのチェーンで実行する場合と比べて、「スケーラビリティ」、「トランザクションフィー」といった課題の解決を試みています。結果、ネットワークの信頼性、効率性、汎用性を高めることになり、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)などの分散型アプリケーションのサービス展開に貢献しています。

現在の時価総額ランキングは15位(CoinMarketCap調べ)。価格の動きはここ一週間で約30%の上昇となっています。今後もユースケースの発表が期待されるAVAXの動きには要注目といえそうです。

このレポートについて

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Source: https://www.neweconomy.jp/features/sbivct/352092